日食を見てみよう

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日食って何?

 日食とは,月が太陽の前を通って,太陽を隠してしまう現象です。
 太陽・月・地球がこの順番で一直線に並んだとき,地球上に月の影が落ち,影が落ちた場所では太陽が月に隠れて日食となるのです。

 日食は,かつては不吉なものとして恐れられていました。
 例えば古代日本の,天の岩戸に隠れたアマテラス大御神を呼び戻す神話は,日食のことを語ったものだとも言われています。

 日食は,必ず新月のときにおこります。
 月は,太陽に近いときほど細く,離れるに従って大きくなっていくように見えますね。日食の時は,太陽と月が同じ方向に見えるのですから,月が一番小さくなるとき=新月であるというわけです。
 月が地球の影を通る月食の方は,日食とは反対に満月の日にしか起こりません。

 ところで,新月はほぼ1ヶ月ごとに巡ってくるのに,日食は,時々しかおこりません。
 それは,地球から見た太陽の通る道(黄道)と月の通る道(白道)が,わずかにずれていて,新月でも太陽と月がピッタリ重ならないことが多いからです。


皆既日食と金環日食

 日食は,太陽が完全に隠れてしまう皆既日食と,縁の部分だけを残して隠れる金環日食の2種類に分けられ,このどちらになるかは月の見かけの大きさによって決まります。

 月は楕円軌道を描いて地球の周りを回っており,地球と月の距離は常に少しばかり変化しています。
 そのため,月が近い所にあるときは見かけの大きさも大きくなって,太陽を完全に隠してしまいます。このとき皆既日食が起こるのです。
 皆既日食になると,明るい太陽が隠されるため,まるで夕暮れのような風景が見られます。その他にも,普段は見られない珍しい現象を色々観察することができます。その中のいくつかを,下に挙げてみました。

 また,月が比較的遠くにあるときは,その見かけの大きさは少しだけ小さくなって,太陽を完全に覆い隠すことができなくなります。
 このとき,金環日食といって輪のような太陽を見ることができます。

 

 ●2012年5月21日の金環日食の写真

 

皆既日食の時に見られる現象

コロナ
コロナは,太陽のまわりに広がる薄い大気です。
その温度は100万度と高温ですが,非常に希薄で,明るさも満月よりも暗く,普段は特殊な装置を使わないと見ることができません。私たちがコロナを肉眼で見ることが出来るのは,太陽本体の明るい光が隠れた皆既日食の時だけです。
コロナは,太陽のまわりに一様に分布しているわけではありません。
太陽のごく近くには内部コロナと呼ばれる部分があって,はけで掃いたような筋がいくつも見えます。この筋は,太陽から出る磁力線の通り道を示しています。
また,その外側には,大きな筋が太陽直径の数倍にも渡って伸びているのを見ることができます。この部分は外部コロナ と呼ばれています。
コロナの形は太陽の活動周期と共に変化していて,太陽活動が活発な時期は,太陽を取り囲むような丸いコロナ。そして太陽活動が穏やかな時期は,太陽の赤道に沿った平べったいコロナが見られます。
ダイヤモンドリング
皆既日食が始まる瞬間と終わる瞬間の,まるでダイヤモンドの指輪のように輝く太陽をダイヤモンドリングと呼びます。
月が太陽に隠れてしまう直前と,太陽が月から出てくる直前に,月の谷間からこぼれて輝く太陽の光が,このような美しい姿を見せてくれるのです。
ダイヤモンドリングの中でも,特に,月表面に連続する山や谷から太陽の光がいくつもこぼれ,まるで光の数珠が繋がったように見える現象をベイリー・ビーズと呼びます。
また,ダイヤモンドリングの直前直後には,太陽の表面の彩層と呼ばれる太陽表面の薄い大気層が,弧のように赤く輝くのを見ることができます。
プロミネンス
コロナの中に明るく輝いて見える部分がありますが,これをプロミネンスといいます。
プロミネンスは日本語で紅炎と言い,その名の通り,太陽から立ち上がる赤い炎です。
プロミネンスの出現は太陽活動と大きく関係していて,太陽活動の活発な時期には,地球が何十個も入るような大きなプロミネンスが現れます。
シャドー・バンド
皆既の直前・直後の短い間に地面を移動していく,さざなみのような不規則な帯状の影を,シャドー・バンド (shadow bands),すなわち“影の帯”と呼びます。
地面で暖まって上昇した空気は,上空で冷たい空気と接触すると境界面を作ります。その境界面にぶつかった太陽の光は,全反射してシャドーバンドの影になるのです。この影は皆既日食以外の時もできていますが,太陽全面から来る強い光に埋もれて見ることができません。星が瞬いて見えるのと同じ現象であるとも説明されます。
皆既日食であれば必ず見えるわけではなく,また,幅・長さ・速度・見えている時間・移動方向・影のコントラストなども,日食や,同じ日食によっても観測場所の違いによってさまざまで,アマチュアの観測が期待される現象の一つです。地面に大きな(1m〜2m四方)白い紙や布を敷いておくと,観測しやすくなります。
本影錐
皆既日食は,円錐形に落ちてくる月の本影に入ったときに見える現象です。
皆既日食の前後には,観測者上空の空気層に本影が投影されて,動いていく本影錐を肉眼で見ることができます。

部分日食

 日本で日食がおこると,テレビのニュースなどで欠けていく様子が放映されます。けれど太陽が欠けているだけで,皆既日食や金環日食ではないことがほとんどですね。どうしてでしょうか?
 月が落とす影は地球に比べたらずっと小さなものなので,地球の一部の地域にだけ落ちることになります。そのため,皆既日食や金環日食は,地球上のごく限られた狭い地域でしか見ることができないのです。その地域を離れると,皆既日食や金環日食であっても太陽全部が月に隠されることはなくなり,部分日食が見られます。

 部分日食とは太陽の一部が欠けて見えるもので,部分日食の時の太陽の欠け方は,皆既や金環になっている場所から遠くなるほど少なくなります。部分日食の欠け方は,太陽が全部隠れたときを“1”として,隠れている部分の割合を食分(しょくぶん)という言葉で表します。
 食分は,少し場所を移動すると随分違ってくるもので,例えば1987年9月に沖縄で金環日食が見られたとき,金環となった沖縄での食分は0.971(太陽の97.1%が隠れている)でしたが,鹿児島市での職分は0.824,大阪では0.673,東京では0.577,稚内では0.381となりました。

 また,日食であれば必ずどこかで皆既か金環になっているというわけではなく,日食によっては,地球上のどの場所でも皆既や金環にならず,部分日食しか見えないこともあります。


日食を観察しよう

太陽観察用フィルタ

 太陽を直接見てはいけません。では,どうやって観察したらよいのでしょうか?

 大切なのは,太陽の光に含まれる紫外線で目を痛めないようにすることです。1000円くらいで市販されている日食観察用グラスは,紫外線カットのテストもしてあって安心です。望遠鏡販売店や眼鏡屋さんで聞いてみましょう。
 望遠鏡を使う場合は,望遠鏡の前に太陽専用のフィルターをつけるか,接眼部分に専用のサングラスをつけましょう。長い間望遠鏡を太陽に向けていると,サングラスが熱くなって割れることがあるので注意して下さい。他に望遠鏡を使う方法として,望遠鏡の接眼レンズの前に白い紙を置いて,太陽像を投影して見る方法があります。この方法は天体望遠鏡以外の単眼鏡にも応用できますから,身近な機材で試してみましょう。

 このような機材が何も手に入らなくても,心配はいりません。そんな時は近くの木陰へ行って,木漏れ日を見てみましょう。いつもは丸い木漏れ日が,太陽の形に欠けて見えます。紙に小さな丸い穴をあけたりして,人工的な木漏れ日を作ることもできますよ。その様子を写真に撮ったりスケッチしてもいいですね。
 いろいろと工夫して,自分なり観察を楽しんでみましょう。


 

●皆既日食の体験記
 いつかコロナを… (1991年ハワイ島〜メキシコ皆既日食)
 アルバの風の想い出 (1998年カリブ海諸島〜南米皆既日食)

 

 それではまず,家から見られる部分日食から観察してみましょうか。




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