※当ページの転載・複製は,一切お断り致します。 |
★古いページです。新サイトへどうぞ → 星空を見るための準備 | 星空入門
まず,今日の新聞を見てみましょう。日の出と日の入りの時刻が載っていますね。同じ場所に,月の大きさや出てくる時刻,沈む時刻も載っています。星を見るには月の大きさも重要なポイントですから,是非確認しておきましょう。一晩中月明かりのない新月の夜が一番ですが,月がすぐに沈んでしまう三日月の夜や,深夜まで月が昇らない下弦の夜でもいいですね。満月前後は,避けておいた方が無難でしょう。
新聞を開いたら,ついでに天気予報の欄も確認してみましょうか。ここで気をつけなければならないのは,予報で“晴れ”という夜が,必ずしも星を見るのによい夜ではないということです。ご存知でしょうか? 気象で言う“晴れ”は,雲量2から8を指しているのです。つまり,空の8割を雲が覆っていても晴れ。星を見るには快晴の空が理想なのです。8割も雲があったのでは,とても星座の形を見分けることは困難でしょう。
そういうわけで,できるだけ月の小さな,雲が少ない夜を選んで出かけましょう。
もし興味があったら,天気図の読み方や書き方を覚えると,星を見るのにきっと役立つことと思います。1日に3回,ラジオNHK第二放送で「気象通報」をやっていますから,本屋さんで“天気図用紙”を買ってきて,天気図を書く練習をしてみましょう。
さて,少し話が脱線してしまいましたが,日の入り時刻も確認できましたか?
日が沈んだからといって,すぐに星が見え始めるわけではありませんから要注意。“薄明”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 日没から,空が本当に真っ暗になるまでの間をこう呼んでいます。星空観察をするには,この薄明が終わるのを待った方がよいでしょう。そう,だいたい1時間も待てば,薄明は終わり,星の数も徐々に増えて行くはずです。
星を見に行く日どりや時間が決まったら,早速具体的な準備に取りかかりましょうか。まず,星を見るにはどんな服装がよいのでしょう?
そう,大切なのは動きやすい服装であること。星を見るのは暗い場所。引っかかったりつまづいたりしやすいものです。靴も,歩きやすい慣れたものを選びましょう。とにかく実用本位が大切です。おしゃれしても,どうせ暗闇の中では見えないですしね。
それから大切なのは,季節に応じた寒さ対策。
日が落ちると,辺りは急に冷え込んできます。家の近所で見るような場合なら,そんな特別な対策は必要ありませんが,特に山へ出かけたりした時には要注意です。標高が高くなると,思いのほか気温は下がってくるもの。夏でも防寒対策が必要です。標高1000mもあるような高い山の上なら,7月8月あたりでもダウンジャケットやスキーウェアなどを持っていった方がよいでしょう。露や風対策には,レインコートやカッパもなかなか有効です。冬なら,大げさなくらいたくさんの防寒着を準備して下さい。下着から暖かいものにし,足下から冷え込まないようにするのがポイントです。カイロや手袋も忘れずにね。帽子をかぶるのも効果的ですよ。
まず,今夜どんな星が見えるのかを知らなくてはなりません。星は,季節や時刻が変わってくると,見えなくなったり全く違う場所に見えたりします。慣れないうちは,その時々の星の位置をしっかり把握することが大切です。
その日の星空を簡単に知るためには,星座早見盤が便利です。日付の目盛りを合わせるだけで,好きな時刻の星空の様子を知ることができます。ぜひ一つ手に入れておきましょう。
もう少し詳しい星空が知りたければ,星座解説書や星図を1冊用意しましょう。星座解説書はたくさん出版されていますから,自分に合った見やすいものを選んで下さい。多くの星座解説書では,季節別に見やすい星座を紹介し,絵や写真を入れて初心者が星座に親しめるよう工夫しています。星図の方は,空を区切って星の位置を詳しく示したもので,初めて星を見る,まだ星座も知らない人にはちょっと使いにくいかもしれません。ですが,少し星座を覚え,双眼鏡や望遠鏡で星雲や星団などの淡い天体を眺めてみようと思った頃には,きっと大活躍するはずです。
|
さて,星座早見版や本があっても,暗闇の中では見ることができませんね。そこで必要になるのが懐中電灯。特別なものは要りません。皆さんの家にも一つや二つあるでしょう? それで十分です。頭につけるヘッドランプがあると,両手が自由になるので,早見盤を見たりするのに便利です。 ただここで,一つだけ注意点。懐中電灯を赤いセロファンで覆って減光して下さい。そう,明るい懐中電灯で照らしてしまっては,せっかく星空を見るために暗闇に慣らした眼も,もう一度時間をかけて慣らし直し。その上,周囲で星を見ている人がいたら,その人にも同じ迷惑をかけてしまいます。星以外の光は,ほんの少しでも見ない方がいいのです。 |
他には?
基本的にはこれだけあれば,あとは自分の目を使うだけで十分に星空を楽しむことができるでしょう。星座を探すにはできるだけ広い範囲の星空が見えることが大切で,肉眼が一番適しているのです。望遠鏡などの道具は一切必要ありません。
では,望遠鏡はどんな時に使うのでしょうか? 望遠鏡とは,空のほんの少しの範囲を切り取って,その部分だけをクローズアップして詳しく見せてくれる道具です。星座の形がわかるようになって,星図を使って暗い星や星雲などを探したり,惑星の模様を見たりしたくなったら望遠鏡の出番になります。このように空の一部分だけしか見えない望遠鏡は,星座を探したいときには少しも役に立たないのです。
その点,双眼鏡は便利かもしれません。肉眼よりずっと暗い星まで見ることができ,望遠鏡より広い範囲を見ることができるからです。望遠鏡や双眼鏡などのレンズを覗いた時に見える範囲を視野と言いますが,双眼鏡は望遠鏡よりずっと広い視野を持つため,肉眼で見ている星と,レンズの中の星を簡単に対比することができるのです。自分の目で見ているだけで物足りなくなったら,双眼鏡を試してみてはどうでしょう。天の川など星がたくさん集まった部分を覗いたら,まるで銀の砂粒のような星達が視野いっぱいに輝いている姿が見られますよ。
さあ,準備はととのいましたか?