古代エチオピアのケフェウス王とカシオペヤ王妃には,アンドロメダという美しい娘があった。娘の美しさが自慢のカシオペヤは,ある日,口を滑らせる。
「海の精たちも,アンドロメダの美しさの前ではかすんでしまう」
この発言に怒った海神ポセイドンは,エチオピアの海岸にお化けクジラを送り込む。困った王と王妃が神にお伺いを立てると,アンドロメダを生け贄にするようにとのお告げ。
国民の命には代えられず,アンドロメダは生け贄となって海の岩場に繋がれた。アンドロメダ姫を喰い殺そうと,迫り来るお化けクジラ…。
そこへ通りかかったのが,天馬ペガススに跨った勇士ペルセウス。
怪物メドゥサを退治して首を持ち帰る途中だったペルセウスは,お化けクジラの前へと飛び出し,メドゥサの首を振りかざした。メドゥサとは,一目見た者は恐ろしさのあまり石になってしまうという怪物で,お化けクジラもたちまち石に。
危うく一命を救われたアンドロメダは,ペルセウスと結婚し,幸せに暮らしたという。
***
椅子に座ったまま星座にされたカシオペヤは,娘自慢の罪で北極星の周りを休むことなく回り続ける。
ケフェウス王も王妃の近くで北天を巡っているが,物語と同じように影が薄く,星座になっても暗い星ばかり。
アンドロメダ姫は,カシオペヤの南で鎖に繋がれた姿。
天馬ペガススは,アンドロメダの西隣。
勇士ペルセウスは,アンドロメダの北東隣で,怪物メドゥサの首をしっかり握っている。メドゥサの部分にはアルゴル(悪魔の星)という変光星。
おばけクジラは,南の空に大きな体を横たえる,くじら座。
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