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海へび座のα星。別名コル・ヒドレ(へびの心臓)。けれど,この星に一番ふさわしい名は,アルファルド −孤独なもの− だと思う。
秋の一つ星フォーマルハウトはあまりに有名だが,春の一つ星ともいえるこの星は,どちらかといえば忘れられた存在のようだ。秋の星を語る時,カシオペヤ座やペガスス座にまじえて必ずみなみのうお座のフォーマルハウトの話が出てくるが,春の星を語る時,同じく北斗七星やしし座などにまじえてうみへび座のアルファルドを語ってくれる人はなかなかいない気がする。
“淋しきもの”“孤独なもの”という名の如く,アルファルドの周りには明るい星はほとんど無い。海へび座でたった一つの2等星であるこの星だけが,ボツンと地味な赤い光を灯している。アルファルド,アルファルド…その名を思いながら光をじっと見ていると,何か胸に響いてくるような気がしてしまう。
アルファルド,アルファルド――。語られることも少なく,それこそ本当に淋しく光っていはいるけれど,アルファルドは自分を孤独で淋しい星だなんて思っていないのかもしれないな。ずっとああして一人で地道に輝いていられるのだもの,きっとマイペースな強い星。アルファルドのように,生きていきたいと思う。