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みなみのかんむりを“真珠の髪飾り”と呼んでいるのは,多分きっと私くらいのものだろう。これは,小学生だった私がつけた全くのオリジナル。
我ながらなかなか美しくピッタリなネーミングだと思っているのだが,実は,みなみのかんむりに真珠の髪飾りのイメージを重ねたきっかけを話すのは,ちょっとばかり恥ずかしい。何しろ小学校4年生だか5年生だかのこととあって,あまりに子供じみているのだ。
でも,まぁ,せっかくの機会なので告白してしまおう。出所はアニメだ。手塚治さんの漫画,『海のトリトン』。小学生の頃これがテレビアニメとなっていて,けっこう私のお気に入りの番組になっていた。海の民であるトリトン族とその宿敵ポセイドン族の,海の中を舞台に繰り広げられる闘いが描かれているアニメである。
その中に,トリトン族最後の生き残りの女性であるピピという名の人魚が出てくる。テレビアニメでは,ピンク色の尻尾を持ち,くせっ毛の短い髪をした気の強い女の子。彼女の髪を飾っていたのが,みなみのかんむりそっくりの真珠の髪飾りだったのだ。それは人魚のピピが身につけている唯一のアクセサリーだったけど,見事なばかりに彼女を可愛らしく見せていた。素朴なものの美しさ。人魚ピピの唯一のアクセサリーは私にそれを教えてくれた。
そして,それは正に,ひそやかに輝くみなみのかんむりそのものだったのだと思う。(1998-10-01)