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十一月。黄色く輝いていたセイタカアワダチソウが,霜に打たれて色を失っていきます。青々と茂っていた道端の雑草たちも,少しずつ冬枯れの衣に様変わり。植物たちは月が移ったことを知っているかのようですね。
十一月の異称,霜月(しもつき)は,そんな様子を語っています。
“霜月”は,霜がしきりに降る月であったことから霜降月(しもふりづき)と呼ばれていたものが変化した名前。その他に,露に濡れる植物たちの様子を語る露ごもりの葉月(つゆごもりのまづき),冬を待つ様子を表す雪見月(ゆきみづき),雪待月(ゆきまちづき)などの異名も知られています。
どれをとっても,なかなか風情溢れる名前ですね。
また,陰暦十一月は一陽来復(いちようらいふく)と呼ぶこともあり,これは凶事(陰)が去って,再び吉事(陽)が訪れるという意味です。易学の世界では十月は陰が極まる月であり,十一月になると陽の気が戻ってくるとされていたことから,こう呼ばれました。“一陽来復”は冬至や新年を表す言葉でもあり,春の訪れを告げる意味を持っています。
陽の訪れを神の岩戸を開いて神を招くことに例え,神楽を奏し,神帰りの式を行うことから,十一月を神帰月(しんきづき)とか神楽月(かぐらづき)と呼ぶこともあります。
さて,木枯らしの音を聞きながら,霜を愛で,雪を待ち,心静かに冬の訪れに耳を傾けてみましょうか。