ナス(ナスビ,茄,茄子,eggplant,
Solanum melongena L.)

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ナスの画像

 暑さに参った夏の夜,冷たい茄子料理は最高の一品ですね。

 叶わない願いを例える,「師走筍寒茄」(しわすたけのこ かんなすび)という諺がありますが,これは,ハウス栽培の無かった昔,師走に筍を,寒の頃に茄子を手に入れるのは難しかったことが由来。
 ナスの旬は夏から秋にかけてで,「秋ナスビ嫁に食わすな」という諺もあり,美味しい秋ナスを姑が憎い嫁に食べさせまいとする,嫁虐待の諺であるという説があります(身体が冷えるナスを嫁に食べさせまいとする,嫁を大切にする例えという説もあります)。

 ナスは,ナス科の一年草で,インド原産。
 日本への渡来時期はわかっていませんが,奈良時代の西暦750年には栽培されていた記録があり,生産量も栽培品種も多い,重要な野菜となっています。
 品種は,丸ナス(北陸・京阪),小丸ナス(東北・北海道),卵形ナス(関東),中長ナス(関西・山陰・東海),長ナス(東北・関西以西),大長ナス(九州)などに大別され,現在最も多く出回っているのは,卵形ナスと中長ナスの交雑による千両ナス。

 “なす”という名は“なすび”が略されたもので,夏に味がよくなるため“夏味”と呼ばれたものが転じた名前と考えられています。
 一説には,たくさんの実がなることから“生り進む”を略したもの,“中が酸っぱい実”という意味からつけられた,などとも言われていますが,各々,ナスの特徴をよく反映していますね。



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