引っ越し,そしてユリの死 :2000年10月〜2001年1月
2000年10月02日(月)
引っ越しの見積もりをする。水槽は,水と魚を抜いたら運んでくれるとのこと。水も漏れないようにタンクに入れたら運んでくれるというので安心した。
お魚たちも含めて,無事引越できますように。
2000年10月06日(金)
名古屋の亮介の実家で,鳥取県の地震のニュースを知る。自宅あたりでも震度4という表示だったので,台所のカウンターにおいている小さなモアジュの水槽が無事だろうかと心配するが,どうにもならない。
2000年10月08日(日) 寒露
丁度日付が変わる頃,名古屋から帰宅。鳥取の地震の影響はなかったようで,水槽も無事で一安心。モアジュは急に明るくなったので興奮していた。
2000年10月17日(火)
1日中引っ越しの片づけをしていた。夜7時頃になって,一番問題な水槽をたたむ作業を開始した。引っ越し業者はペットを運んでくれないので,魚達は自分たちで運び,水槽と水だけを運んでもらえるよう片づけるのだ。
モアジュは,ポット入りアヌビアス・ナナと一緒に2Lの蜂蜜の瓶に入れ,そこへコマキ(石巻貝)5匹を同居させる。モアジュの水槽の水は,仕方がないので全部捨てる。
60cm水槽の方は,まず10Lのポリタンクに水槽の水を入れ,そこへ魚たちを捕まえて放す。ユリとコリドラスとグローライトテトラはすぐに捕まったが,ランプアイとネオンテトラは逃げまくって大変。ネオンテトラは,捕まえると死んだふりをして驚かせてくれた。ポリタンクに放すと元に戻っているから,こういった自己防衛反応をする魚なのだろうか? 魚たちの移動が終わると,今度は水槽の水を20Lポリタンク2個に移す。環境が変わっても,もとのこなれた水があれば,魚たちは何とか耐えてくれるだろう。残った水で水槽の掃除をし,完了。水を抜いた水槽は通常荷物として運んでもらえるし,ポリタンクの水も,通常荷物として運んでもらえる。多分,水草たちは枯れてしまうだろうけど,ごめんね。でも,どうしようもない。せめて魚達はみんな,無事に引っ越しできますように。。。
2000年10月18日(水)
朝9時から荷物出し。この秋最初の西高東低で,風が強くて寒くて大変。ポリタンクの中のお魚達は,それでも元気に泳いでいる影が見える。モアジュも瓶の中でスイスイしていた。荷物出しが終わったのは午後2時半近く。熱帯魚達のポリタンクには,できるだけ風が直接当たらないようにしたが,だいぶ冷えたと思われる。全ての引っ越し作業が終わると,まず魚達を車に運んだ。お魚たちも含め,みんなで一緒に京都から熊本へ車の旅をするのだ。途中,モアジュのいた高槻のジャスコ・シティの前を通る。お世話になりました。
西高東低の気圧配置らしく,空には冬の雲が出ていて夕焼けが美しかった。
2000年10月19日(木)
新居の片づけを一段落させて手荷物が残る実家へ戻ると,グローライトテトラが1匹,自殺してしまったというニュースを聞く。ポリタンクじゃかわいそうなので,バケツに入れて蓋を開けてあったので,飛び出して干からびたらしい。せっかく無事に熊本まで来たのに。。。
瓶の中のモアジュは元気。父が与えた餌にぱくついていた。
2000年10月21日(土)
ようやく予定が片づいてきたので,ホームセンターへ出かけて水槽のフィルタを調達し,60cm水槽を設置した。小さな家なので60cm水槽は大きすぎるけど,とりあえず落ち着くまで。
魚達は,寒かったのによくバケツで耐えてくれた。ごめんね。ベタ1匹(ユリ),コリドラス1匹,ネオンテトラ4匹,グローライトテトラ3匹,ランプアイ8匹の,計17匹の引っ越しが無事完了。グローライトテトラ1匹が事故で死んでしまったけれど,それを除いて全員無事800kmの大移動を全うできて,本当によかった。
2000年11月10日(金)
昼間,モアジュと一緒にリビングで過ごしていると,モアジュの瓶から,度々瓶を叩くような“カン”という音が聞こえることに気がついた。見てみると,何と,水槽に入れてあるデジタル温度計のセンサーに体当たりして音を鳴らせているのだ。勿論,音を鳴らすことより,センサーへの体当たりが目的なのだろう。何度も何度も繰り返し,時によっては3回も4回も音がする。モアジュ,何やってるの? 闘うべきオスベタがいないが不満? もう最近では,モアジュはオスだろうと信じている。オスだから人間の服の色に怒ったり,クマノミのぬいぐるみを見て怒ったりする激しさを持つのだろう。
2000年11月11日(土)
午後,60cm水槽をたたむ。モアが死んでモアの水槽をたたんだ時を思いだしてしまった。魚達は,数も少なくなったし,モアジュが使っていたモアの水槽(25L)へ移ってもらう。こちらの水槽なら,この家でも維持できそう。
移動前から調子の悪かったランプアイが,移動後死んでしまったので,何だかかわいそうで,カネノナルキの鉢に埋めてあげた。
この家では水槽を二つ置けないので,モアジュの方は今後ずっと瓶生活だ。瓶は丸い小さな植物台の上に置き,瓶の底には天体望遠鏡の露対策に使うヒーターを敷いた。これで,何とか冬の寒さを乗り切ることはできないだろうか?
2000年11月28日(火)
オレンジ色のカーディガンを着たら,モアジュがすごい怒って興奮していた。何て失礼な魚。。。オレンジはベタに似ていないじゃないの!?
2000年12月12日(火)
昨日の夜食事ができなかったユリは,偶然ではなく明らかに調子が悪そうで,今日は見ただけでフラフラになっているのがよくわかった。食欲は勿論なくて,ほとんど底に沈んで,水草や流木に巻き付いていた。時々大きなあくびをする。見かけは綺麗で白点病や尾腐れ病ではなさそう。原因は推定できない。泳ぐのも大変といった感じで,空気を吸いに行って流されるところは,モアの最後を思い出して悲しい。ユリ,頑張れ。何とか立ち直って。。。
いつも好奇心いっぱいだったユリ。コマキを見つめてつついたり,水草を植えるところを見に来て,植え終わったらさらに近づいて水草を観察していたユリ。流木の穴を探ってくぐるのが好きだったユリ。見ているだけで面白い子だった。丁度1年前にペットショップで見つけ,小さくて痩せていて同じ水槽に入っていた2匹の赤いベタに苛められていたのを,正月休みが明けた1月9日にネオンテトラ5匹やコマキと一緒に買ってきた。もうすぐ家に来て1年が経つというのに,1周年を待たずに死んでしまうの? 水換えが悪かったのだろうか? 色々考えてしまう。ユリが心配で,1日落ち着かなかった。つい昨日の昼までは元気にヒラヒラ泳いでいたのに,どうして急に??
2000年12月13日(水)
ユリは,相変わらず「体調が悪い!」といった感じで,フラフラと泳いでいる。隅っこに浮かんでいたので,何とか餌を食べてくれないかと思って餌を落とすと反応したが,他の魚が食べてしまってたどりつけない。ビーカーに移してユリにだけ餌をあげてみたが,今度はユリがビーカーを嫌がって暴れて餌どころではない。これ以上暴れて体力を使わせてしまってもいけないので,すぐに放した。
午後からは流木の下やヒーターの下に沈んでいることが多くなる。夕方見ると,今まで体は綺麗だったけど,ほんの1点,背中の方に付着物のような白い小さなものがくっついているのが見えた。泡だろうか? と思ったが,夕食後,それが増えているのに気がつき,やっと病状が姿になって現れたのかと思い,水温を30℃に上げて「ニュー・グリーンF」を投与してみた。すると,しばらくしてユリは死ぬかの思うほど暴れ出した。スクリューのようにグルグル回転しながらあちらこちらにぶつかって狂ったみたい。もうこのまま死ぬのかも,薬が強すぎたのかも,と思ったが,しばらくするとおちついて,体表の付着物が消えていた。相変わらず苦しそうだけど,少し落ち着いた様子も見える。流木の下にいたユリに亮介が指を出す,いつものように近づいてきて,亮介がもっと指を近づけると,いつものように引いた。ユリが引いたのを見てこんなに嬉しいことはなかった気がする。思わず涙が出てきた。ユリ,頑張ってよ。もう少しでうちへ来て1周年なのに。ペットショップで初めてユリを見てから丁度1年くらい。弱々しくやせていたのが,こんなに立派になったのに。。。
明かりが消えると,ユリは流木の下で寝ていた。明日の朝までは,きっと生きていてくれるだろう。まだ絶食3日目だから,まだ間に合う。何とかこのまま回復に向かってくれないだろうか。
2000年12月14日(木)
朝,まず流木の下で生きてるユリを確認する。ライトがついた後観察すると,ほとんど泳がず底の方でのたうちまわっている。上の方へ泳いできても,身体をねじ曲げていて苦しそう。どちらかというと右を下にし,まっすぐ泳げずにいる。体表はきれいで鱗も逆立ってはいない。様子は昨日の夜より悪そうで,やはりダメなのだろうかと思う。温度を上げて薬を入れる以外に何ができるだろう? あとは様子を見守るしかできないのだ。魚はなでてあげることも,医者に連れていってあげることもできない。うちの水槽の女王様だったユリ,表情豊かで頭の良い子だったユリが苦しむのを見るのは,全く耐えがたい。餌をくわえたまま水面へ出て空気を吸ったりして笑わせてくれたユリ,しょっちゅう垂直になって水槽の底をつついて「垂直娘」と呼ばれていたユリ。コマキを観察してつついていたユリ。もうそんな姿も見られない。他のベタにだけは臆病で,モアにも遠慮してばかり,モアジュからは逃げ回っていた。モスと仕切をつけて同居させたときは,仕切に興味を見せて仕切の穴に顔を突っ込んでいたっけ。
ユリが今際の苦しみにのたうちまわっているけれど,モアジュは私の服を見て怒っている。モアが死ぬときもそうだったなぁ。苦しむモアに見ていられなくなってユリを見に行くと,流木をくぐって遊んでいた。
2000年12月15日(金)
ユリの具合が悪いというのに,亮介は泊まりの忘年会。気になるだろうなぁ。5月は,モアが死にそうだというのに小松に泊まりで出張しなければならなかったっけ。
そのユリは,昨日の夜は平衡感覚もいかれてまっすぐ泳ぐことも出来ず「もうダメ」という感じだったが,朝見ると,比較的正常に泳いでいる。コマキを見つめているし,指を出したら引いてくれた。もしかして回復してきた? 希望を持ってしまう。多分,亮介が帰る前に死ぬことは無いだろうという気がする。あとは,餌を食べてくれたら安心なのだけど。ユリ,頑張れ。一緒に新世紀を迎えよう!
午後,ユリはほとんど正常に行動するようになってきた。何と,コマキをつついているところも目撃。ユリがコマキをつつくのを見てこんなに嬉しかったのは初めてだ。コマキちゃん,ごめんね。餌をあげてみたくてたまらなかったけど,夕方の餌の時間まで我慢。その代わりに亮介にユリの報告のメールを書く。モアジュは元気で,その間にも温度計のセンサーをつついて「ピンッ」と音をさせて自己主張。まったくベタって,魚のくせに,なんでこんなに存在感があるんだろう。
globeのCDをかけている。「You are the one」を聞くとモアを思い出す。
夕方魚たちに餌をあげる。体力がないであろうユリが食べられるようにと多めにあげたが,もともと好きではないフレークは見向きもしない。コリドラスの餌の方は,興味を示して寄って行くが,いつもなら奪って独り占めするのに,逆に小さいネオンテトラやランプアイに追い払われていた。そういうわけで,ユリに食べようとする意志があることはわかったが,ほとんど食べられなかったと思う。
2000年12月21日(木) 冬至
午後になって水槽を見て,ユリの元気がないのに気がついた。フラフラ泳いでいるかと思ったら,また平衡感覚がなくなったような回転を始め,目もうつろ。治っていなかったんだ! さすがに助かるという希望が失せ,急いで亮介にメールをする。夜,オアシスランド(個室)へ移して水換えをし,投薬して全員を薬浴をさせ,ユリはオアシスランドのまま水槽に浮かべて餌も別に与えた。普通に泳ぐこともあって,その時は見かけ上病気もよくわからない。餌は,最初は興味なさそうだったけど,食べる気はあるようで,つついている。ただ,あまり減っていない。オアシスランドの周りに付着した泡を気にしてつついたり,向こう側を通るコマキをつつこうとしたり,好奇心だけは失わないユリ。でも,多分,そう長くはないんだろう。残念だけど。。。
2000年12月22日(金)
ユリは,餌を少し食べていて,斜めに泳ぐ行動はなくなったようだ。
2000年12月23日(土)
朝起きると,ユリは,昨夜あげたコリドラスの餌を粉々にしてだいぶ食べていたので,水槽に放す。
2000年12月24日(日)
夜の間,餌と一緒に隔離していたユリは,朝になるとしっかり餌を食べていた。夜も,コリドラスの餌半分と共に隔離してみたが,2時間ほどで食べ終わったので水槽に放した。
2000年12月25日(月)
ユリは夕食の餌に全く興味がない様子で,争奪戦に参加しない。仕方なく,またオアシスランド(個室)へ餌と一緒に入れたが,昨夜のようにさっさと食べてくれず,心配だ。
2000年12月26日(火)
ユリは,少し餌を残したけれど,昼前には水槽へ放してやった。絶好調ではないが,コマキを見つめる元気はあるようだ。
2000年12月27日(水)
すごく寒い朝。ユリは昨夜の食欲の無さはどうなったのか,結局餌を食べて糞もしていたので,早々に個室から出して上げた。
あまりの寒さに,モアジュは21.3℃まで下がっていてかわいそう。昼間は直射日光があたって28℃だというのに! そのせいだかわからないけど,モアジュは1日中,しょっちゅう温度計のセンサーに体当たりしていて,ツンツン言わせていた。何なんだ? とりあえず,過酷な環境に負けずに元気。ユリもよくなってくれるといいのだけど,のんびりのんびり泳いでいる。
2000年12月28日(木)
ユリは,朝になって餌をつついていたので,亮介が出かけた後水槽へ放してやった。水槽へ放されると,早速コマキに近寄って見つめてつついている。どうしてこんな子になったのか?
モアジュには朝から餌をあげたけど,元気いっぱい食べている。モアジュはすごくスイスイ泳いでいて,相変わらず時々温度センサーにぶつかってツンッって言わせてとても可愛い。とにかくモアジュを見ていると心が安まる。
2000年12月30日(土)
ユリは,朝になると餌を食べているが,非常に元気がない。
2000年12月31日(日)
ユリは,昨夜はほとんど餌をつつかなかったが,朝10時に起きると餌は粉々になっていたので,多少は食べたようだ。しかし,水槽へ放しても,ポンプの上の方でボーッとしていることが多く,かなり元気がない。コマキを見つめることもなくなってきた。年は越せそうだけど,あまり長くないのかも。。。何が悪いのかわからない。
2001年01月01日(月) 晴れ
起きると11時。ユリは,まだもだえながら生きていた。
しかし,お昼を過ぎて確認すると,ユリは,死んでオアシスランドの底に横たわっていた。身体をねじ曲げて,苦しかったのだろう。身体はすでに黒ずんでいて硬直している。すぐに取り出して,モアの眠るシルバースターの根本に埋めてあげた。体調50mm。モアより3mmほど小さかった。コマキを見つめたり,餌を運んで加えたまま空気を吸ったり,ひょうきんな子だった。ユリがいなくなった水槽は,火が消えたように寂しく悲しい。覚悟はできていたけれど。。。
ユリちゃん,長い闘病生活お疲れさま。頑張ったね。あなたと過ごした1年間は決して忘れない。さようなら。