1986年4月24日の皆既月食スケッチ

月食を見てみよう

月食って何?

 月が地球の影に入って暗くなる現象を月食と言います。
 月が太陽の前を通って太陽を隠してしまう日食では,太陽・月・地球という順番で一直線に並びますが,月食の時は地球と月の位置関係が逆転し,太陽・地球・月の順番に並びます。日食は新月の時に,月食は満月の時に起こるのです。

 ところで満月の日,月は太陽から見て地球の反対側にありますが,ほぼ29日に1回巡ってくる満月が毎回月食になるわけではありませんね。
 それは,地球から見た太陽の通る道(黄道)と月の通る道(白道)が,わずかにずれていて,同じ満月でも太陽・地球・月が正確に一直線上に並ばないことが多いからです。


皆既月食と部分月食

 月食というと,赤銅色(しゃくどういろ)の月が見えているところを想像する皆さんも多いかもしれませんね。月食の写真などでよく見かけるこの赤銅色の月は,皆既月食中の代表的な月の姿です。
 けれども,月食といえば必ず赤銅色の月が見られるわけではありません。月食には,月が地球の本影にすっぽり入ってしまう皆既月食と,一部分だけ入り込む部分月食とがあるのです。

月食の種類
月食の種類

 皆既月食の時に月が完全に暗くならず赤銅色に輝いて見えるのは,太陽の光の一部が地球の大気を通り抜け月の表面を照らしているためです。波長の短い青い光は地球大気に散乱されやすく,波長の長い赤い光は大気を通り抜けやすいため,赤い光の方がたくさん月に届き,月が赤く見えるというわけです。夕焼けが赤いのと同じ原理ですね。
 皆既月食中の月の明るさは,その時々の地球の大気の状態に大きく影響され,大気中の塵(ちり)が少ないと明るいオレンジ色に見えます。塵があまりに多いと赤い光でさえも月へ届かず,月の姿がほとんど見えなくなるほどの真っ暗な月食になることもあります。


本影と半影

 地球の影には,本影(ほんえい)と呼ばれる太陽の光が全く届かない部分と,半影(はんえい)と呼ばれる太陽の光が一部さえぎられて届かない部分の2種類があります。半影は,本影の周囲をぐるりと取り囲むように存在しており,本影も中心部へいくほど暗くなっています。
 皆既月食や部分月食は月が本影に入った時におこる現象で,皆既月食や部分月食の時でも月食は必ず半影食から始まり,続いて本影食が始まります。月が本影に全く入らず半影の中だけをかすめて通る月食もありますが,これは半影月食と呼ばれています。半影月食は,月の北側か南側の一部がほんの少し暗くなるだけなので,かなり注意して見ないとわかりません。

本影と半影
本影と半影

 地球の本影の直径は月の直径の2倍以上もあるため,皆既月食は地球上の広い範囲に渡って同時に見ることができ,また,皆既月食の継続時間は長いときでは2時間近く続くこともあります。
 地球上のごく一部の狭い地域で,長くてもほんの数分間しか見られない皆既日食とは随分違いますね。


月食を観察しよう

 月食は,もっとも肉眼で観測しやすい天文現象の一つです。
 月は地球の周りを西から東へと回っていますので,月食の時,月は必ず向かって左側から欠け始め,同じ方向から明るくなっていくのがわかります。また部分日食を観察してみると,月の北側や南側が欠けるのがわかるでしょう。

 月が欠けていく時の様子や色が変わっていく様子は,肉眼で十分観察することができます。その様子をスケッチしていけば,月のどの部分から欠け,どの部分から明るくなっていくか,あるいは皆既日食の最中,色がどのように変化していくかを記録に残すことができます。双眼鏡があれば月の模様も見えやすくなりますから,スケッチも肉眼よりずっと楽にできるようになります。大きな双眼鏡がなくてもオペラグラスで十分です。
 月食が進んで月が暗くなるにつれて,周囲のどんな星が見えるようになってきたか,月の欠け具合と一緒に観察しても面白いでしょう。

 月食の日時がわかったら,できれば食の始まり,食の最大,食の終わりの時間を『理科年表』や『天文年鑑』あるいはウェブサイトなどで調べてみましょう。スケッチの計画を立てるのに役立ちます。どれくらいの間隔でスケッチをとるかは,自分で計画してみましょう。そう,少なくとも,食の始まり直後に1回,食の始まりから食の最大までの間に1回,食の最大時,食の最大と食の終わり間に1回,食の終わりの直前に1回,合計5回はスケッチしてみると,食の進み方がわかりやすくなりますね。

 スケッチ用紙は,特別なものを用意する必要はありません。ケント紙や画用紙,スケッチブックでもかまいません。前もって,月を描いた円と方角を記入しておくとよいでしょう。白い紙を使うか黒い紙を使うかは,個人の好み。筆記具も,鉛筆だけでシンプルにスケッチしてもよいですし,色鉛筆やパステル,クレヨンなどを使って色を付けてみても楽しいですね。好きな画材を使ってスケッチを楽しんでみましょう。
 スケッチには観測場所と観測年月日,時刻などを記入しておくと,よい資料になりますよ。皆既中の月の色は「ダンジョンスケール」で表しますので,これも記録しておきましょう。

ダンジョンスケール
 0:黒
 1:灰色 または こげ茶色
 2:暗い赤
 3:明るい赤
 4:オレンジ

1982年1月10日の月食のスケッチ
1982年1月10日の月食のスケッチ

 ●2000年7月16日の皆既月食の写真
 ●2007年8月28日の皆既月食の写真
 ●2011年12月10日の皆既月食の写真


 さて,次の月食はいつでしょう? さっそく観察してみましょうか。