2017年6月の星空

 梅雨に入り夜も短く,6月は星を見上げる機会が少なくなる季節ですが,梅雨の晴れ間が広がった日,薄明が終わる頃に天頂付近を見上げてみましょう。オレンジ色の1等星が輝いています。
 これはうしかい座 のアルクトゥルスという星で,梅雨時の輝星らしく,雨夜の星(あまいのほし),五月雨星(さみだれぼし)など,風情ある和名を持っています。また麦が熟れる頃に昇る星であることから,麦星,麦熟れ星,麦刈り星などの異名も持っています。農事暦と共に生きた,昔の人々の生活が偲ばれますね。

 3日の朝には東の空で金星が西方最大離角を迎えます。この季節は夜明けが早い上に午前4時の地平線高度が20°程度で,明けの明星を楽しむには少々条件が厳しいです。
 ただ見間違うことない明るさですから,もし早起きする機会があったら東の空を眺めてみて下さい。

金星が西方最大離角になる日 (2017-06-03)
金星が西方最大離角になる日 (2017-06-03)

 
 12日に近日点を通過する C/2015 V2 ジョンソン彗星は,近日点が地球軌道の外側にありますが,地球に近い位置にあるため明るくなることが期待できます。夕刻のうしかい座からおとめ座あたりに見られ,5等級程度が予想されています。
 彗星の5等級は恒星の5等級に比べてぼんやりした印象です。双眼鏡を準備すると見やすくなります。
 
 15日にはへびつかい座で土星がを迎えます。衝の頃の惑星は,日没頃には東の空に昇り,真夜中に南中,日の出頃に西空へ没するため一晩中見えています。
 穏やかな雨上がりの夜がありましたら,望遠鏡を向けてみましょう。そして,望遠鏡の中の惑星の像がピッタリ止まって見えるような夜があったら,ぜひ高倍率で眺めてみましょう。スケッチして今年の姿を記録しておくと翌年との環の開き具合の違いがよくわかります。
 2009年に真横から見た土星の環は,2019年へ向かってどんどん開いており,土星らしい環を伴った姿が小望遠鏡でもわかりやすくなっています。

衝を迎える土星 (2017-06-15)
衝を迎える土星 (2017-06-15)

 


南中する星座

 午後8時(20時)に南中を迎える,観察しやすい星座たちです。(夏の星座夏の全天星図

 【上旬】 おとめ座ケンタウルス座りょうけん座
 【中旬】 
 【下旬】 うしかい座 ・ コンパス座(☆)

 ☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

見やすい星雲星団

 【球状星団】 M3 (りょうけん座), NGC5139 (ω星団,ケンタウルス座)
 【銀河(系外星雲)】 M81・M82 (おおぐま座), M51 (子もち星雲,りょうけん座), かみのけ座~おとめ座銀河群
 (星雲星団を見よう星雲星団一覧表


惑星用語の説明月の形の変化について

天文現象
1 上弦の月のイメージ 上弦:21時42分
3 金星が西方最大離角:21時30分(-4.3等,離角45°.9)
くじら座 R(周期166日,変光範囲7.2等-14.0等)が極大光度
5 芒種:20時37分。太陽の黄経が75度になる。
6 準惑星(1)ケレスが:12時31分
7 海王星が西矩:21時46分<
8 アンドロメダ座 R(周期409日,変光範囲5.8等-15.2等)が極大光度
9 満月のイメージ 月が最遠:7時21分(視直径29分24秒,1.057)
満月:22時10分
11 入梅:2時6分。太陽の黄経が80度になる。
12 C/2015 V2 ジョンソン彗星が近日点を通過
15 土星が:20時50分(へびつかい座,+0.0等,視直径18″.4)
17 下弦の月のイメージ 下弦:22時33分
21 夏至:13時24分。太陽の黄経が 90度になる。
水星が外合:23時10分
23 月が最近:19時52分(視直径33分21秒,0.931)
24 新月のイメージ 新月:11時31分
みずがめ座 R(周期387日,変光範囲5.8等-12.4等)が極大光度
26 おおぐま座 R(周期302日,変光範囲6.5等-13.7等)が極大光度
29 水星が火星の北0°47’:3時17分