中欧旅行記 ★ 成田からブダペストへ

※当ページの転載・複製は,一切お断り致します。
(C) 2003-2004 Mira House, All rights reserved.

★リンクをクリックすると写真を見ることができます。
参考文献

出発 (2003-02-10)

 成田空港第一旅客ターミナル,午前9時集合。
 成田へ直行便のない地方空港からそんな朝早く行ける筈もなく,成田前泊となった。宿泊は,成田エアポートワシントンホテルURL)。ホテルから空港までは送迎バスで約15分というので,朝8時15分のバスを予約する。さすがに前泊すると,朝の予定は楽なものだ。

 しかし,当日朝。まずいことに膀胱炎の症状! 冬の疲れた日などに時々かかる病気だが,おそらく旅行前1週間ほどのハードスケジュールで身体が悲鳴をあげたのだろう。風邪薬や胃腸薬は用意していたが,不覚にも膀胱炎は忘れていた! この期に及んで旅行のキャンセルなんて絶対イヤだが,このままでは事実上旅行など不可能だ。
 ダメもとでホテルのフロントに抗生物質がないか問い合わせてみたが,そんな特殊な薬はないという。ただし,空港へ行けば,第一ターミナルにも第二ターミナルにも病院があり,どちらも朝9時からやっていると教えてくれた。
 幸いにして,急を要するほどの症状ではない。とりあえず普通に朝食をとり,8時5分に部屋を出る。

 ホテルの玄関を出ると,既に送迎バスが停車していて,荷物の積み込みが始まるところ。バスを待つ人の列に加わって一安心だ。
 ふと見ると,私たちのすぐ前に KLMオランダ航空(URL)の鮮やかな空色のユニフォームを着た日本人女性が立っている。KLMの飛行機が1日に何機も飛ぶはずないので,私たちが乗るアムステルダム行き KL862便のCAさんに違いない。同じ飛行機に乗るCAさんが同じホテルに泊まっていたとは! それだけで,何だか嬉しい。
 聞いてみると,やはり彼女は KL862便に乗るCAさん。飛行機に抗生物質があるかどうか尋ねてみたが,やはりないとのこと。彼女からも,第一ターミナルのB1にクリニックがあると教えてもらった。このほか,機材は B747で Full Passengerであるとの情報を得る。

 成田空港は以前に比べると非常に警戒が厳しくなっており,昨日列車で入港するときは,駅から空港に入る部分にバリアがあって身分証明書の提示を求められたが,バスで入港する場合は警備の人がバスに乗り込んできて,一人一人の身分証明書を確認。
 確認といっても身分証明書をチラと見るだけで,ひっかかるのは怪しくない人ばかりでは?と疑問に思う。だってテロの実行犯とかだったら,事前に警戒体制を調査して偽造証明書くらい持ってくるでしょ?
 あまり意味のなさそうなチェックを無事抜けて,まずは第二ターミナルに停車。ここでほとんどの乗客が送迎バスを降り,残ったのはほんの数人だ。私たちは終点の第一ターミナルでバスを降り,KLMのCAさんと「また後ほど」の挨拶を交わして集合場所へ向かった。

新東京国際空港

成田第一旅客ターミナルにて

 何とも体調が不安だったが,ターミナル内を歩いているとほどなく薬局発見! さっそく聞いてみると,幸い求める薬が見つかった!
 おかげでかなり救われた気分になって集合場所へ行き,添乗員さんと顔合わせ。8日間お世話になる添乗員は,ベテランという感じの女性だった。

 再集合時間を聞くと,真っ先に先ほどの薬局で水を買って薬を飲んだ。これで,かなり安心!

 それから荷物のチェックインを済ませ,WORLDPERKSのマイレージ登録のため,KLMオランダ航空&ノースウエスト航空のカウンターへ向かった。成田はほとんどノースウエスト航空のハブ空港のようなものなので,KLMはノースウエストのカウンターにお邪魔しているという感じ。
 数年前,KLMに乗ってオランダ旅行をしようとWORLDPERKSの会員登録をしていたが,計画がポシャってずっと幽霊会員?だったので,マイル登録は今回が初めて。KLMオランダ航空は世界一古いエアラインとしてずっと憧れていたので,この旅で乗れるのは本当に嬉しい。
 カウンターで鞄に付けるKLMのタグを探したが,ノースウエスト航空のものしか見つけられず,ノースウエストのタグをもらってリュックにつけた。

46番ゲート

 さて,次の仕事はユーロ換金だ。
 しかし,これが随分長い列。結局,換金が終わると同時に再集合の時刻となってしまった。

 再集合場所へ集まって,ここで今回の旅を共にするツアー参加者と初顔合わせ。参加者は13人で,女性11+男性2という内訳。何だか,女性は人生を楽しみ男性は仕事ばかり…という悲しい社会構造が思い浮かんでしまった。
 添乗員さんから出国手続きの流れを聞くと,次の集合はアムステルダムのスキポール空港到着後ということで解散。各々勝手に出国カウンターへ向かう。身体が病気と闘っているため,発汗&発熱で気持ち悪いが,我慢我慢。

 しかし,体調が悪いとろくなことにならないものだ。20万円以上の買い物などする予定はないが,一応,新品のPRADAのリュックを持ち出し所持品として関税で申告しておきたかったのに,申告場所を見落として出国してしまった。

 出国後,申告カウンターがどこにもないことに気づいてインフォーメーションで尋ね,申告は出国前にしなけらばならない(考えてみれば,当たり前)と聞いて,私は心底ガックリ。ただでさえ体調が悪いのに,再び日本国内へ戻って申告だなんて…。
 唯一の収穫は,申告場所を探してウロウロしている間に,中にも銀行があるのを発見したこと。こちらはすごく空いていて,並ばずに換金できそうだ。次回からはこちらを利用しよう。

Air Tahiti Nui

 ようやく手続きが全て終了し,停泊している飛行機を眺めながら出発の46番ゲートへと急ぐ。免税店には興味なし。閑散としている長い道のりだが,出国を終えると気持ちも足取りも軽くなる。地方では決して見ることの出来ないエア タヒチ ヌイの飛行機URL)に感激!

 ゲートには既に私たちをヨーロッパへ連れて行ってくれる ブルーボディのB747-400が停泊していた。おそらく帰りに私たちが乗ることになっている KL861便として,さきほど成田へ着いたばかりだろう。ウィングレットのKLMのマークがカッコイイ!
 周囲に集まっている同じ飛行機の出発を待つ人たちを見回すと,何と,チェックイン・カウンターで私たちが探して見つけられなかったKLMのタグをつけている人がいる。どこで手に入れたのだろう? おそらく出発ロビーには無いだろうと思いつつ一応探してみたが,やっぱり見つからなかった。だめ押しで,搭乗の時に係の人に聞いてみたが,やっぱり置いていないとのこと。残念! 出国前にもっとよく探せばよかったなぁ。

KLMでの12時間

機内のモニター

 KL862便の出発予定は11:00。定刻11時にプッシュバックを開始し,11時10分に離陸した。国際線なのに随分と正確だ。
 full passengerと満タンの燃料を積んだ機体が重そうにゆっくりゆっくり飛び立つ間も CAさんたちが通路を歩きまわっていて,離着陸時は乗客と同様に座ることが決まりらしい日本の航空会社との違いを感じる。

 JALのB747-400に乗ると各々の座席に液晶モニターが備えられていたりするが,それに比べてKLMオランダ航空B747-400の機内はとても質素,モニターは小さなものが通路の天井に取り付けられているだけだ。モニターの真下にある私の席からは,首が痛くてとても見られたものじゃない。
 12時間も乗る国際線なのに機内食のメニューも無いし,機内誌も持って帰る気になれないほどボロボロ。さすがケチで有名な国,オランダの航空会社?
 機内誌は免税品カタログを兼ねていて,かなり印象的だったのが身長29cmのキャビンアテンダント人形。珍しいし面白いし,せめてこの半分くらいの大きさだったら買ってもいいと思ったが,さすがにちょっと置く場所がない。参考までに,お値段は18ユーロだった。

最初の食事

 離陸後しばらくすると,おしぼりが配られ,食前の飲み物タイム。KLMのCAさんのサービスは,どことは言わないが何度も乗ったアメリカの航空会社と比べれば比較的丁寧な感じ。
 勿論ここは,オランダのビールHeinekenを頼まなければ! このビール,味といい緑の缶といい私好みなのだが,高価すぎて普段は購入対象外なのだ。オランダの飛行機に乗ったのだという気分が盛り上がってくる。抗生物質で膀胱炎を押さえている身分なのだが,水分補給は重要ということで(^^;。

 このあと最初の食事となったが,普通なら「Beef or chicken ?」と聞いてくるところを,この飛行機のCAさんは日本語で“ビーフ チキン”と書いたメモを見せて注文を聞いてきた。たったそれだけの英語も聞き取れない客がいるのだろうか?

 食事は,チキンに白ワインを頼んだが,チキンはご飯つき,ビーフは豆やジャガイモがヨーロッパ風で,ビーフの方が正解という感じ。パンはちょっと変わった味だが美味しく,バターはホイップしてあって,あっさりしていた。
 だいたい食事が終わった頃に,珈琲のサービス。かつて色々な国際線でお目にかかった頭痛がしそうなほど甘いデザートを思い浮かべ,覚悟してラズベリージャム?が乗ったチョコケーキに手を出したが,さすがヨーロッパと言うべきか,確かに甘いものの,美味しさの方も見事に確かだった。
 珈琲を飲み終わった頃に紅茶サービスがあったので,こちらも一杯。紅茶のことを English tea って言うんだなぁ,と思って聞いていたら,他に Japanese tea もあって,急須に入れた緑茶がサーブされていた。

 食後は,照明が消されてシネマタイム。私は眠らず映画を見るつもりだったが,モニター画面が頭の真上だったので諦めた。しかし,字幕はオランダ語だし,エンジン音で英語も非常に聞き取りにくい。どちらにしても私のヒアリング能力で映画堪能は難しかったかも。
 映画の他には,BBC World や DISCOVERY CHANNEL など,普段スカパー!でお馴染みの番組をやっていて,こちらは英語も難しくないのでそれなりに楽しめる。

 KLMに乗って一番よいと思ったサービスは,こうして照明が消され映画などを上映している間にも,水やジュースやお茶を乗せたトレイを持って,度々CAさんが回ってきてくれること。予めペットボトルの水が配られたりしても飲むのを忘れていることが多いので,こうして回ってきてくれると,脱水症状を防ぐよい機会になると思う。
リフレッシュメント  飛行機の搭乗記録カードが欲しかったので,通りかかったCAさんに聞いてみたが,私の英語が悪いのか,本当にないのか,「Sorry. finish.」と言われた。何となく,通じていなかった気がする。「パイロットのサインや出発地や到着地やフライト時間を書いたカード」と言ってみたつもりだったのだが。

 やがてフライトが半分終わり,リフレッシュメントはストロベリー・アイスクリームかカップヌードルの選択。
 カップヌードルはおなじみの日本製だが,いつお湯を入れたのかという感じで若干伸びている。オランダ製のカップヌードルを期待していたので,ちょっと残念。アイスクリームはニュージーランド製で,蓋の裏に,鮮やかなKLM色のプラスチック・スプーンがついていた。

2回目の機内食

 リフレッシュメントの後,映画が終わり,機内放送は NATIONAL GEOGRAPHIC CHANNEL や Mr.Bean など,英語だけでも十分楽しめるものが始まった。

 そうこうしているうちにフライトも進み,日本時間にして夜8時を過ぎた。いくら座りっぱなしとはいえ,さすがに空腹になってきたが,2回目の食事はなかなかやってこない。ようやく食事が配られたのは到着1時間前で,かなり慌ただしく食べることを余儀なくされた。

 飲み物は,今回も私が白ワイン。日本的なそぼろご飯もカップケーキもとても美味しかったのだが,着陸間際に大急ぎで食べなければならないのは何とかして欲しいと思う。
 着陸15分前になって,更にミントキャンディの袋が配られたが,このノンビリさにはついていけない。国内線だったら,“あと15分”でこんな急いだ気分にならないのだが,12時間も乗っていると,“あと15分”と“到着”はほとんどイコールになってしまうのだ。シベリア鉄道に1週間乗っていると,到着半日前から準備を始め,到着3時間前には皆すっかり下車の準備が整うらしいが,これと同じ理屈だろう。



スキポール空港

 飛行機は,スカンジナビア半島からデンマークを抜け,オランダへ入る。アムステルダムのスキポール空港には,定刻より30分早い14時30分の到着だった。
 飛行機を降り,機体を振り返って"PH-BFC"というシップナンバーと"Guayaquil"という愛称をメモ。KLMの飛行機(全機種かどうかは不明)には,一機一機に KLMの destination になっている地名などの愛称がついているようで,グアヤキルはエクアドルの都市名だ。
 12時間も乗せてくれた飛行機に名残惜しげに別れを告げながら空港へ入ると,そこに,成田のエアポートワシントンホテルの送迎バスで一緒になったCAさんが立っていた。挨拶すると覚えていてくれて,「どこのお席だったんですか。お腹は大丈夫ですか」と聞いてくれる。後で思えば,一緒に写真でも撮って貰えば良かったな。

スキポール空港

 空港に降り立つとツアーの人たちと再集合をし,添乗員さんからチケットをもらってまた解散。次の集合はブダペストの空港だ。
 今度の便は,KLMオランダ航空・ノースウエスト航空・MALEVハンガリー航空のコードシェアということで,電光掲示板には3社の便名が提示されている。乗り換えまで1時間弱の時間があるため,その間を利用して空港内を探索だ。

 帰りはスキポール空港で時間がとれるかどうかわからないので,まずはオランダ土産を探すことに。
 ディック・ブルーナさんの国なので,あちらこちらにミッフィー・グッズがいっぱいだが,これらは日本でも手に入りそうな物ばかり。今回の旅行ではケチケチせずに沢山お土産物を買おうと決めてきた私たちは,早速スキポール土産として名高い木靴の靴ブラシの他,マグネットチューリップのTシャツやネクタイなど自分たちのものから人にあげるものまで様々を購入。

スキポール空港の土産物屋

 土産物が一段落した後ベンチで一休みしながら荷物整理をしたが,大きなバレンタインの看板が目についた。外には,日本では決して見られない三つ葉マークのエア・リンガス アイルランド航空の飛行機URL)が駐機している。三つ葉のマークは,アイルランド国花のシャムロックを象ったものらしい。

 ゲートに向かって歩いていると,新聞を配っている男性がいて私にも一部差し出してくれた。現地の新聞は,天気予報など情報収集のほか,お土産物を包んだりと重宝するのでラッキー。
 もらってみると,いつも BBC World で紹介されているオレンジ色の "FINANCIAL TIMES"。イギリスの新聞なのに,オランダの空港で配っているのか。ヨーロッパに来たんだねぇと感慨深い。FINANCIAL TIMESの表紙にはSONYのロボットが載っているし,日本の禁煙運動についての記事もあったりして,やっぱり日本ってそれなりに注目度の高い国なのかもと,少し気持ちが引き締まる。海外旅行では,日本人として恥ずかしくない行動を心がけなければならない。

 それにしても,オランダ人やベルギー人は大きいとは聞いていたが,空港で見かける人は男性も女性も本当に大きくて,我々はまるで子供のようだ。
 広い空港なので随分歩くことになるが,途中の広場?に意味不明なモニュメントを発見。上に座っている人もいたが,堅そう。これは一体何?
 あちらこちらに見かける公衆電話はカード式で,カードさえ買えば簡単に使えそうだった。

マレーブ・ハンガリー航空の旅

飛行機の夕暮れ

 搭乗ゲートのカウンターで WORLDPERKSのマイル登録をし,セキュリティチェックを受けると,目の前に,KLMオランダ航空でもなくノースウエスト航空でもない,おそらくマレーブ・ハンガリー航空の小さな飛行機が待っていた。機種は,見ただけではわからない。乗ってみると,フォッカー70だった。なるほど,オランダ製の飛行機か。もしかしたら記憶がないほど幼い頃にフレンドシップに乗ったことがあるのかもしれないが,気持ちはフォッカーの飛行機初体験!

 アムステルダムのスキポール空港からブダペストのフェリヘジ空港までのフライトは,約2時間半。この間に長い2月10日の太陽がようやく没し,我々は本日4回目にして最後の食事をとることになる。

 飛行機の中は通路を挟んで2席&3席の組み合わせで,私たちの席は後ろから2番目。座席の前には電話がついている。
 後ろの席は母親と小さな息子の二人連れで,横は大きな白人男性三人組だ。男の子がCAさんからマレーブ・ハンガリー航空のモデルプレーンをもらっていて,飛行機好きとしては大変羨ましい。いつも思うが,どうして大人はもらえないのだろう?
 頭上の荷物収納は小さく,寒い季節なので棚はコートで溢れており,ほとんど最後に搭乗した私たちに残された場所はほんの僅かのスペースだった。フライトの間ずっとロングコートを手元に持っておくのはあまりにも邪魔と思われたので,コートを一生懸命丸めて棚に押し込んでいると,隣の席の白人男性が「困ったねぇ」というジェスチャーをして笑っていた。今度から,冬の飛行機には少し早めに乗り込むこと!

マレーブ・ハンガリー航空の機内食

 16時20分,飛行機は19L滑走路から飛び立った。運河だらけのオランダの風景は,機上から見ても印象的。日本とは違って,風力発電の風車が並んでいる姿もよく見かける。
 フライト時間が短いということもあり乗ってすぐに食事となったが,不思議に意外とお腹が空いている。ミールの内容は,チーズとハムとサラミのサラダにパンとお菓子で,飲み物は,飲み過ぎかなぁと思いながらもまた白ワインを頼んだ。チーズとハムの組み合わせは以前アルゼンチン航空に乗った時の機内食を思い出させ,「くどいのでは?」と警戒したが,実に美味しい。ハンガリーはチーズもハムも美味しいと聞いていたが,今後が楽しみだ。ただしお菓子の方は異常に甘く,気分が悪くなるのを恐れて半分残してしまった。おかげで濃すぎる珈琲(エスプレッソ?)が美味しく感じられる。

 東へ向かっていることもあり,ほどなく外は夕焼けとなり,続いて闇が訪れた。
 隣の白人男性たちは眠ってしまい,後ろの男の子は席を蹴ったり叩いたり,シートカバーを引っ張ったりといつまでもうるさい。一度など,座席と座席の間の隙間からモデルプレーンを突っ込んできたので,思わず取り上げようかと思った(^^;。

フェリヘジ空港

フェリヘジ空港に降り立ったフォッカー70

 雪が積もったブダペストのフェリヘジ空港へ降り立ったのは18時30分頃で,既に真っ暗だ。タラップを降りて振り返り,乗った飛行機の全景を初めて見る。シップナンバー HA-LME を持つ MALEV Hungary Airline の Fokker70,さようなら。

 バスに乗ってターミナルへ向かい,そこで現地通貨への換金を済ませ,荷物を回収する。
 ハンガリーの通貨フォリントはハンガリー国外へ出ると使えないし,滞在は1日。ユーロやUSドル,日本円を使える店も多いということで,20ユーロを換金するにとどめた。
 荷物がなかなか出てこないので,ちょっと周辺をぶらぶらしてみるが,公衆電話があるだけで,面白いものは特にない。
 本当に長々と待たされたが,幸いにして損傷もなく全員の荷物が揃い,空港を出た。謎だったのは,添乗員さんが「荷物はポーターさんが運びます」と言ったのに,ポーターの姿はどこにもなく,結局自分の手で荷物を回収し,バスまで運ぶことになったこと。私としては,自分の荷物は自分で回収して運ぶ方が好みなので特にかまわないのだが,ポーターさんは仕事をほったらかしてどこに消えたのだろう?

夜のブダペスト

夜のブダペスト郊外

 到着ゲートを出たところでガイドさんが待っていて,バスへ案内してくれる。バスはツアー客+添乗員さん+ガイドさんの合計15人が乗るには十分すぎるほど大きくて,明日からは,一人で二人分の席を占領できそうだ。

 空港からブダペストの町中までは約20km。ガイドさんの案内を聞きながら,疲れない程度に車窓の景色を楽しめる,丁度良い行程だ。
 ブダペストの街は先週降ったという雪に覆われていて,とても風情がある。ガイドさんによると今年は5年ぶりの寒さで,昨冬は最高気温15度の暖かさだったとか。

 雪に埋もれた家々は明らかにヨーロッパ的美しさを備えていて,まるでクリスマスの絵を見るみたい。
 もう暗いのに道を歩いている人も多く,言われるほど治安が悪そうには見えなかった。やがてドナウ河畔の道に出て,川の向こうの王宮や温泉,道沿いにある国会議事堂,ライトアップされたくさり橋などの観光名所が次々と見えてきた。さすが“ドナウの真珠”の異名を持つブダペストの夜景は,物語のように美しい。

ホテル到着

ホテル到着

 私たちが宿泊するホテル IBIS VACI UT はペスト側で,町の中心部を少し北にはずれたところにある。
 安いツアーなのでホテルには大して期待していなかったのだが,着いてみると,日本のビジネスホテルみたいな感じでそんなに悪くない,というより良い感じだ。フロントの横に大きな観葉植物が置いてあったが,長旅に疲れた目にはとても嬉しい。ibisなのでトキのマークのホテルを想像していたが,南国風の花が目印のホテルだった。

 鍵はカード型で,部屋は7階706号室。室内も意外に広く美しく,通りに面していてベランダからの景色も美しい。
 部屋には絵が2つ飾ってあるが,片方は ibis Budapest ,もう一方は,ibis Paris と書いてある。ibisは,あちこちにチェーン店を持つホテルのようだ。

 設備の方は,スリッパ,湯沸かしポット,ティッシュ,歯ブラシなどは無く,タオル掛けもシャワーの近くにあるのみで,洗面台の周囲にはない。洗面台もベッドも小さく,目覚まし時計も無し。バスタブから洗面台下の配管が丸見えという構造は,ビックリしたけど面白かった。
 それでもとにかく,こういった状況はほとんど全て予想の範囲。何も困ることはない。小さくても清潔感がある部屋なので,思ったよりかなり快適に過ごせそうだ。

 テレビをつけると,まず画面に "Welcome NAITO M/M" というメッセージが出てきた。勿論ハンガリー語は分からないので,せめて英語放送ということで,我が家でいつも見ている BBC World をつけるが,CMがKLM&ノースウエスト航空だったりするところが日本とは違う。当たり前だけど,国によってCMが違うのね。
 プラグの形はSEで,電圧は240V。早速持ってきたアダプタを付けて,デジカメの電池の充電や,パソコンへのデータ移動などの雑用を片づける。

 膀胱炎で体力を使ったこともあり,私はほとんど限界。とにかく急いで風呂に入り,2泊するホテルの1泊目の夜に欠かせない洗濯を片づけ,22時には就寝した。




インデックスへ戻る   へ進む