vsolj-news 142: SN 2005cz in NGC 4589

                        VSOLJ ニュース (142)

       山形の板垣公一さん、超新星2005czを発見

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  山形県山形市の板垣公一さんは、今年に入ってからもすでに2個の超新星を
発見されている活発な新天体捜索者です。このほど板垣さんは、彼自身今年3
個目となる超新星を7月17.50日(世界時、以下同様)に発見されました。この天
体は、翌18.23日に、アメリカのグループによって確認されました。発見時・
確認時ともに明るさは16.0等と報告されています。板垣さんが6月20日に撮影
した画像では、18.5等より明るい天体は見られませんでした。爆発からそれほ
ど時間が経っていないものと思われます。

  超新星が出現したのは、りゅう座の楕円銀河NGC 4589です。超新星の位置は、
板垣さんの測定によると、

        赤経: 12時37分27.85秒
        赤緯:+74度11分24.5秒  (2000年分点)

で、銀河の中心から東に12秒、南に6秒にあたります。

  NGC 4589は比較的近傍の銀河で、明るいタイプである核爆発型超新星(白色
矮星にガスが降着して重くなり爆発するもの、観測的にはIa型超新星と分類さ
れる)であれば、典型的な極大の明るさは14等ほどが期待されます。楕円銀河
では星が新しく作られていないとされるため、寿命の短い大質量星による重力
崩壊型超新星(観測的にはIa型以外のすべての超新星に対応する)であることは
考えにくく、核爆発型である可能性が高いものと思われます。

  発見時の明るさは、期待される極大等級より暗く、母銀河のチリによる吸収
を受けているか、もしくは核爆発型超新星のなかでも典型的なものより暗めの
ものであると推量されます。これらはスペクトル観測によって判別できますの
で、今後のスペクトル観測が待望されます。

参考文献: IAUC 8569 (2005 July 18)

                            2005年7月19日

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