vsolj-news 153: SN 2006bp in NGC 3953

                        VSOLJ ニュース (153)

        急増光している超新星2006bpを山形の板垣さんが発見

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  星全体の爆発である超新星は、爆発から数日〜20日くらいで最も明るくなる
極大を迎えます。超新星の極大前のようすは、まだそれほどくわしくはわかっ
ていません。発見されるのが爆発後かなり明るくなってからになることが多く、
また、望遠鏡のスケジュールや天候の都合で、発見後すぐに詳細な観測ができ
るとは限らないからです。

  今日、急増光しつつある超新星が発見されました。おそらく爆発後間もなく
で、今後かなり明るくなるものと期待されます。発見者は山形県山形市にお住
いの板垣公一(いたがきこういち)さんで、これまでに10個以上の超新星を見つ
けているベテランの超新星ハンターです。

  超新星の位置は、

    赤経:  11時53分55.74秒
    赤緯: +52度21分09.4秒  (2000年分点)

で、母銀河であるNGC 3953渦巻銀河の中心から北に93秒角、東に62秒角にあた
ります。渦巻の腕の外のほうに位置しています。発見画像は、

http://www.rochesterastronomy.org/sn2006/n3953s1.jpg

で見ることができます。

  板垣さんがこの超新星に最初に気付いたのは、4月9.6136日(世界時、以下同
様)、日本時間にすると9日の23時24分に撮影した画像を見たときです。そのあ
と、10日4時前まで観測を続けましたが、そのわずか5時間弱の間に、超新星は
1等級近くも明るくなりました。報告された明るさは、

  9.6136日  16.7等
  9.6689日  16.4等
  9.7383日  16.0等
  9.7835日  15.8等

で、見る見る明るくなっていくようすが見てとれます。このような急増光がと
らえられたのは、ごく珍しいことです。

  母銀河であるNGC 3953には、5年前に超新星2001dpも出現しています。この
超新星は、超新星のなかでも明るい部類であるIa型(核爆発型)超新星で、発見
された時にはすでに極大を1か月ほど過ぎていましたが、それでも、14.4等ほ
どの明るさでした。今回の超新星2006bpが、もしIa型であれば、極大では13等
級程度、その他の型(重力崩壊型)だとしても15等程度に明るくなると期待され
ます。X線観測衛星SWIFTが向けられることも決まっており、今後のタイプ決定
と詳細な観測が期待されます。

参考文献: CBET 470 (2006 Apr. 9)

                                                        2006年4月10日

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