vsolj-news 167: Nova Scorpii 2007

                        VSOLJ ニュース (167)

     三重県の中村さん、茨城県の櫻井さんがさそり座に新星を発見

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  2月になると、明け方の東の空にはさそり座やはくちょう座が昇りはじめ、
天の川に沿って出現する新星が見つかる季節が到来します。今年も、さそり座
に新星が発見される頃になりました。発見したのは、日本のベテラン天体捜索
者のおふたりです。

  三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんは、CCDカメラに135mmレンズ
を付けて新星の捜索をしています。また、茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらい
ゆきお)さんは、デジカメに180mmレンズの組合せをお使いです。おふたりとも、
5日未明(日本時間)の観測で、9等級台の新しい天体に気付きました。2日前の3
日未明にもおふたりとも観測されていましたが、その時には天体はとらえられ
ていませんでした。これまで報告されている天体の明るさは以下の通りです。

時刻(世界時)  明るさ       観測者
1月29.8669日  12.0等以下   中村
2月2.8日      見えない     櫻井
   2.8662日   11.0等以下   中村
   4.8624日    9.9等       中村
   4.896日     9.4等       櫻井
   5.818日     8.9等       門田健一(かどたけんいち)さん(埼玉県上尾市)

  確認観測を行なった門田さんが測定した新星の位置は、
   赤経  16時57分41.20秒
   赤緯 -32度20分35.8秒   (2000年分点)
です。この位置の3秒角以内には19等より明るい星はありません。10等級(1万
倍)以上明るくなったものと考えられます。

  西はりま天文台の内藤博之(ないとうひろゆき)さんと鳴沢真也(なるさわし
んや)さんは、6日未明(日本時)にこの天体の分光(スペクトル)観測を行ないま
した。その結果、この天体は極大に近い古典新星であることが明らかになって
います。

  今年に入っての新星発見は、1月に、ケンタウルス座でチリのリラー(W.
Liller)さんが発見したものについで2例目になります。

参考文献: CBET 834 (2007 Feb.  5)
                                                        2007年2月6日

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