vsolj-news 195: Nova Sagittarii 2008

                        VSOLJ ニュース (195)

                        いて座に新星が出現

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  夏の天の川がひときわ広く濃く見えるいて座は、私たちの銀河系の中心の方
向で、数多くの星があります。星間吸収の影響を考えても、数多くの新星が出
現する方角です。そのいて座に、新星が発見されました。発見したのは、福岡
県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫
(かばしまふじお)さんのおふたりのグループです。彼らは、先週も銀河系内の
新星を発見しており(VSOLJニュース193)、たてつづけの発見になります。

  新星らしき天体は、4月18.784日(世界時、以下同様)に撮影されたCCD画像上
で8.4等の明るさで発見されました。40cm望遠鏡を用いて当日撮影した画像で
測定された位置は、

  赤経  18時05分58.88秒
  赤緯 -27度13分56.0秒  (2000年分点)

です。14.805日には12.8等より明るい天体は見えなかったとのことです。また、
愛知県豊橋市の長谷田勝美(はせだかつみ)さんは、15.743日撮影の画像には
11.5等より明るい星は見えないと報告しています。増光から3日以内の、新鮮
な天体ということになります。

  増光前にこの位置をくわしく撮影した画像を見ても、20等より明るい天体は
見られません。2万倍以上明るくなったことになり、古典新星の特徴に合致し
ます。さらに、岡山県倉敷市の藤井貢さんが20日未明に撮影したスペクトルで
は、水素の線が爆発天体特有の形を示しており、古典新星であることがはっき
りわかります(vsilj 8912)。今後の明るさの推移が楽しみです。

新星の画像:
http://i176.photobucket.com/albums/w189/walcom77/Possible_Nova_Sgr.jpg
新星のスペクトル:
http://www1.harenet.ne.jp/~aikow/etc/pn_sgr_20080419.gif

参考文献:CBET 1342 (2008 Apr. 19)
                                                        2008年4月20日

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