星雲星団を見よう
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美しい渦巻き銀河やボールのような星が集まった星団など,星雲星団は特徴的な美しい形を持っており,星に興味を持った人なら一度は憧れる対象でしょう。けれど,そんな星雲星団は,大きな望遠鏡を使わなければ見えないと諦めていませんか?
ここでは星雲星団の種類と特徴,肉眼や双眼鏡,小さな望遠鏡でも見える星雲星団についてご紹介したいと思います。
ただし,星雲や星団を見るのは,星座を作っている星々を探すより少しだけ難しいかも知れません。星と違って,ぼんやりと広がった光だからです。こういう淡い天体を見るときは,対象をまっすぐ見つめず,少し目をそらして見るようにすると見えてきますよ。
星雲星団の種類
- 暗黒星雲(absorption nebula, dark nebula)
- 星雲(nebula)は星間のガスと塵の雲の総称で,暗黒星雲は背後の天体からの光を遮ったシルエットとして存在を確認することができます。暗黒星雲は,星が生まれる前の最初の段階であると考えられています。
- 散光星雲(diffuse nebula)
- ガス状の星雲が内部の星に照らされて光って見える星雲です。散光星雲は,写真では赤っぽく写りますが実際に見ると白く見えます。
- オリオン座大星雲M42は肉眼でもよく見えますので,三つ星の少し下(南)を注意して見てみましょう。
- 散開星団(open cluster)
- 数光年の範囲内に集まる数十〜数千の星の集団で,球状星団に比べると空間的に散らばっている星団です。ほとんどの散開星団は生まれて間もない若い星の集まりで,天の川の中や周辺に多く見られます。散開星団の星々は,やがてバラバラになって太陽のような単独の星になると考えられます。
- おうし座のプレアデス星団,かに座のプレセペ星団など,散開星団には肉眼で観察できるものもありますので,探してみましょう。
- 球状星団(globular cluster)
- 何十万〜何百万もの星がぎっしりと球状に集まった星団です。主に銀河系の周囲のハローと呼ばれる部分にあり,銀河系全体を包み込むように散らばっています。球状星団は銀河系の中で最も早い時期に生まれた星々で構成されています。
- 惑星状星雲(planetary nebula)
- 太陽の7倍以下の質量を持つ星は,星の進化の最後の段階で赤色巨星となり,表面のガスを放出して白色矮星になって冷えていきます。このとき放出されたガスが広がったものが惑星状星雲で,小望遠鏡で見たとき丸く広がったガスが惑星のように見えることからこう呼ばれます。惑星状星雲の中心には,ガスを放出した星が中心星として残っています。美しい環状をしたものから,球状,亜鈴状,不規則など様々の形が見られます。
- 銀河(galaxy)
- 重力の相互作用で結ばれている恒星の大集団のことで,私たちの太陽系を含む銀河を銀河系(Galaxy),それ以外を単に銀河とか,系外銀河などと呼びます。
- 渦巻銀河(spiral galaxy)は,中心部分の膨らんだ円盤から渦状の腕が外側に向かって巻きつくように伸びたもの。渦巻銀河の中で,中心の膨らみが棒状に伸び,棒の両端から腕が伸びているタイプを,棒渦巻銀河(barred spiral galaxy)と呼びます。私たちの銀河系は棒渦巻き銀河であることがわかっています。
渦巻銀河の腕には星間物質がたくさんあって,今も新しい星が生まれています。アンドロメダ座のM31という渦巻き星雲は,空の暗いところへ行くと肉眼で見ることができます。
- 楕円銀河(elliptical galaxy)は,渦巻銀河と比べて星間物質が少なく古い星ばかりでできています。銀河の中で最も多いのがこのタイプです。
- 不規則銀河(irregular galaxy)は,渦状でも楕円でもない銀河で,全銀河の4分の1がこのタイプです。不規則銀河にも星間物質がたくさん含まれ,星が誕生しています。
★ 肉眼や小望遠鏡で楽しめる星雲星団
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