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変光星は,変光の仕方や原因で様々なタイプに分類されています。
変光星のタイプは,脈動星,食変光星,爆発星,回転星,激変星,変光X線源の6種に大別されますが,ここでは初心者の観測にお勧めのタイプについてご紹介します。
各々のタイプの説明の後には,そのタイプの比較的明るい星や観測しやすい星を表にして挙げていますので,参考にしてください。
なお,表にある“変光範囲”とは,その星の最大等級と最小等級を示しています。また,“変光範囲”や“周期”の数字の横についている「:」(コロン)は「不確実」を意味し,等級の後についている V,P,B などの記号は以下のような意味を持っています。
V:実視等級, P:写真光度, B:青フィルタで測定した光度
表の中の星名のリンクをクリックすると,VSNET(*)上にあるその星の最新の光度曲線を実際に見ることができます。
* VSNET:京都大学のメンバーによる変光星のメーリングリストです。
脈動星
変光範囲が大きく明るい星も多いので,初心者に観測しやすい変光星です。
赤い星が多く,変光周期は100〜500日程度が一般的。変光周期が長いので,数日に1回のペースで気長に長期間観測するとよいでしょう。
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光度曲線のモデル |
晩期の巨星や超巨星でミラ型と同じような光度曲線を描きますが,光度や周期が時々不規則に変わります。規則性の大きなものから順に,SRA,SRB,SRC,SRDと細分類されています。
変光範囲はミラ型ほど大きくありませんが,変光周期の短い星もあり,そんな星は光度変化が分かりやすいでしょう。
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光度曲線のモデル |
深い極小と浅い極小が交互に表れる超巨星です。暗い方の極小を主極小,比較的明るい方の極小を副極小と呼び,主極小と副極小では明るさが随分違います。ときどき主極小と副極小が入れ替わることがあり,変光も早いので楽しみやすい変光星です。
平均光度に変化が見られないRV型をRVA,1000日程度の周期で平均光度を2等ほど変化させる星をRVBと細分類します。
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光度曲線のモデル |
星の大きさが不規則に変化し,変光する星です。LB型はゆっくりと変光する巨星が多く,LC型は眼視で約1等の変光範囲を持つ超巨星です。
星 名 | 変光範囲 | 周期 | タイプ | |
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αSco | さそり座α:アンタレス | 0.88-1.16V | ||
WW UMa | おおぐま座WW | 10.7-11.9P |
食変光星
連星系になっていて,星がお互いに隠し合って変光します。数時間ほどで光度を変える星も多く,そんな星は一晩で変光が楽しめます。
光度曲線の形から,アルゴル型(EA),ことβ型(EB),おおぐまW型(EW)の3つに分類され,また連星系の形態から,分離型(D),半分離型(SD),接触型(K)に分類されます。D型とK型は,さらにDM,DS,DW,KE,KWに細分類され,これ以外にも連星系を作る恒星の特徴から様々なタイプが定められています。例えば,表中εAurのGS型は,連星系の片方又は両方が巨星か超巨星であるという意味です。
食(主極小と第二極小)のとき以外は光度変化が起こらない型で,二つの星が比較的離れている連星です。
明るい星が暗い星に隠されると主極小が起こり,暗い星が明るい星に隠されると第二極小が起こります。
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光度曲線のモデル |
明るい星が暗い星を照らし出すため,その照り返しの光によって食のとき以外にも光度変化が起こる型です。主極小と第二極小が同じくらいの星もあり,深い主極小と浅い第二極小が交互に表れる星もあります。
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光度曲線のモデル |
共通の大気を持った,同じくらいの大きさの接触した星が作る連星系です。このため連続的になめらかに光度変化をし,食と食外の区別がはっきりしません。また,主極小と第二極小の差も小さく,変光周期も短くなっています。
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光度曲線のモデル |
爆発星
普段は一定の明るさですが,星の周りにあるダストが星を隠すと突然暗くなります。一旦暗くなった後は,どのように変光していくか全くわからないので,変化が楽しみな星です。
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光度曲線のモデル |
生まれて間もない星で,不規則な変光をします。変光範囲は狭いのですが,どのように変化するか予想できない楽しみがあります。
星 名 | 変光範囲 | 周期 | |
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UX Ori | オリオン座UX | 8.7-12.8P |
激変星
急激に光度が変化する星の総称で,超新星(SN)や新星(N)も激変星に分類されます。
矮新星と呼ばれ,連星系の周囲にある降着円盤の影響で,数十日〜数百日ごとに突然爆発的に増光します。その増光の様子は新星発見を想像させ,多くのファンを持つタイプです。
増光の仕方によってUGSS型,UGSU型に細分類されます。
UGSS型(はくちょうSS型)は,1〜2日で2〜6等増光し(アウトバースト),数日後に元の明るさに戻ります。
UGSU型(おおぐまSU型)は,普通の極大(アウトバースト)と,2等ほど明るくなった状態が通常の極大の5倍の長さで連続する超極大(スーパーアウトバースト)を持っています。
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光度曲線のモデル |