フクジュソウ(福寿草,Amur adonis)

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福寿草
【英国の花言葉】 全草 : 悲しい思い出
【日本の花言葉】 全草 : 幸せを招く

 年末,花屋さんの店頭に福寿草が並びます。旧正月に開花するため床飾りとして正月に欠かせない花だった福寿草は,今も新年の花として親しまれているのです。
 寒さの中ですっくと咲き誇る黄金色の花は,春一番の象徴そのもの。“福寿草”も,“元日草”(がんじつそう)や“朔日草”(さくじつそう)などの異名も,新年を喜ぶ名前です。
 福寿草の英名は Amur adonis(アムールのアドニス)で,アムール川が流れるシベリア東部から日本にかけて分布するアドニスであることを示しています。

 アドニスは,もともとギリシア神話の美少年の名前。
 美少年アドニスは,アフロディーテペルセフォネに愛され,1年の4ヵ月をアフロディテと地上で,4ヵ月をペルセフォネと冥界で,残りは自由に過ごすことになりました。しかし,彼は狩りの際,猪に突き殺されてしまいます。この時アドニスの血潮からアネモネが,アフロディーテの涙からバラが生まれたとされています。

 アネモネとフクジュソウは同じキンポウゲ科の花で,またヨーロッパのフクジュソウ属には血のような赤い花を咲かせるものもあることから,フクジュソウ属の学名には Adonisの名がつけられました。
 英国の花言葉が“悲しい思い出”であることには,こんな理由が潜んでいるのです。イギリスでは,赤いフクジュソウを“Adonis flower”と呼んだりもします。

 フクジュソウ属は英語で“ pheasant's-eye”(雉の目)といいますが,これは黒っぽい花弁の基部が雉の目のように見えることからついた名前。北半球の温帯地域に20種ほどが知られ,ヨーロッパ産のアキザキフクジュソウは真っ赤な花を咲かせます。


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