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虹

 主虹は,外側の赤い部分の視半径が約42度,内側の紫で40度。太陽光線が水滴に入るときに屈折し,水滴の内面で一度全反射,水滴を出るときに再び屈折することにより現れる。
 外側の副虹は色の並びが主虹と逆で,外側の紫の視半径が約54度,内側の赤で50度。水滴内面で2回全反射するので,色の並びが主虹と逆になっている。

 虹の明るさを決めるのは水滴の大きさで,大きい水滴はプリズムの役割をしっかり果たすため,水滴が大きいとき虹は濃くなり色鮮やかになる。

 よく見ると,主虹の内側の空は明るく,主虹と副虹の間の空は他の空より暗くなっていることがわかるが,これは,光の屈折によって主虹の内側に入り込む光が多くなり,主虹の外側の空へ入り込む光が少なくなるから。時に,主虹の内側に七色のスペクトルが何回も繰り返されて見えることがあり,これは過剰虹と呼ばれている。


 空に架かる虹は,神話の世界では,神々が天と地を結ぶために造った橋と考えられることが多い。
 ギリシア神話の虹の女神イリスは,神々(特にゼウスとヘラ)の使者として天と地を行き来しており,日本神話では,冒頭で伊弉諾(いざなき)と伊弉丑(いざなみ)が“天の浮橋”(虹)の上に立って最初の陸地を創造したと物語られる。

 虹を巨大な蛇と見る概念も世界各地に見られ,“虹”という漢字も,虫(ヘビ)+工(つらぬく)で,虹を“天空を貫く大蛇”に見立てた中国の民話からできたもの。

 中国のほか,アフリカ西海岸の神話では,虹は,水を飲むために空に現れた地下に住む大蛇。また別の西アフリカの地域では,虹は,尾を下にして海面に立ち,空の水を飲んでいる海中に住む大蛇。
 そして南アメリカの神話では,虹は,一人の少女に捕らえられて飼われた小さな水蛇。飼われているうちに巨大に成長した水蛇は,人間を飲み込みながら世界中を渡り,鳥たちの協力によって退治された。このとき各々が羽を水蛇(虹)の血に浸したので,それ以降,鳥たちは様々な美しい色彩を持つようになったのだという。


 神秘的で不思議な空の橋。
 言いしれぬ畏怖を感じずにこれを見ることは,たぶん私にはできないだろう。大自然はこうして数々の奇跡を世へ送り,そこには,その原理を知った現代人の心をも捉えてやまない大きな大きな力が潜んでいるのだと思う。

虹

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