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太陽の光を浴びて真っ赤に熟れたトマトは,まさに夏の象徴のような野菜ですね。年間を通じて店頭に並ぶトマトですが,旬は夏。トマトを赤く染めるリコピンは,20〜25℃の晴天下で最も効率よく生成されます。
トマトには,糖分やビタミンA・C,そして K・Ca・P などの灰分や酸類などがバランスよく含まれていますから,暑さに弱った体の調子を整えるために,毎日でも食したいものです。
トマトはナス科の一年生草本で,原産地はアンデス山麓のペルー,エクアドル,ボリビアなど。トマトという名も,ペルーのインディオが Tomati と呼んでいたことが由来です。
アンデス地方では昔から食用とされていましたが,ヨーロッパで栽培されたのは,16世紀初めのイタリアが最初。イタリア料理の食材としてイメージされるトマトですが,当初は観賞用で,食用栽培が始まったのは18世紀中頃のことでした。
少し遅れて北アメリカでもトマトの栽培が始まり,19世紀に入るとイタリアとアメリカはトマトの主要生産国になっていきます。
日本へは18世紀初め以前に南方から渡来しましたが,やはり観賞用で,食用栽培の始まりは明治初年,本格的な普及は食生活が欧化した昭和以降まで待たなければなりません。
トマトには香りの強い赤色系と香りも酸味も弱い桃色系がありますが,日本で好まれるのは桃色系。甘みが強い桃太郎も,先端がとがったファーストも桃色系です。チェリートマト,プチトマトと呼ばれるキスミーは赤色系ですが,果物なみの高い糖度が酸味をカバーしています。
日本でのトマトの別名は赤茄子ですが,赤色系トマトを好むヨーロッパでは赤さをリンゴに準えたのか,フランスでは“愛のリンゴ”,ドイツでは“天国のリンゴ”,イタリアでは“黄金のリンゴ”というニックネームがつけられています。