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今年も最後の1ヶ月。街角の店先では,おでんが暖かそうな湯気を立てていますね。ホカホカのダイコンは欠かせない具の一つです。風呂吹き大根や七草粥など,ダイコンは日本の冬の食卓を古来から彩ってきました。
ダイコンはアブラナ科の2年草でヨーロッパ系とアジア系に分かれ,古代エジプトではピラミッド建設時にハツカダイコン(二十日大根,ラディシュ)が食べられていたことが記録されています。
日本でも,淤富泥(おおね),於朋泥(おおね)などという名で『古事記』や『日本書紀』に登場し,古くから食されていたことが知られています。
ダイコンの名は,この“おおね”に“大根”という字があてられ,時代が下って音読みされるようになったものです。
このほか,ダイコンにはスズシロ(蘿蔔,清白),カガミグサ(鏡草)の別称がありますが,これは,春の七草のスズシロが野生のダイコンの一種であること,また,鏡餅にスズシロを飾ったことが由来です。
ダイコンは,日常の重要な食糧であったことや,細工して様々な形を作りやすいことから,神祭の大切な食品として重宝され,大根畑も神が現れる神聖な場所と考えられていました。
このため,十日夜(とおかんや:旧暦10月10日の稲の収穫祭)などの神事にダイコンが利用されたり,半夏生・彼岸・社日などの季節の折り目には大根畑へ行くことを忌む習慣もありました。
日本の食卓を潤し続けたダイコンは,でんぷんの消化を助けるアミラーゼとビタミンCを含み,葉の部分に多くのミネラル・ビタミンを含む優れた食品です。アミラーゼもビタミンCも熱に弱いので,サラダや大根おろしにして食べてもいいですね。