最終更新 : 2007-09-10
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和名おおぐま座の一部である北斗七星に対し,以下の名前が見つかっている。 ホクト(北斗)・ナナツボシ(七つ星)・ナナヨボシ(七夜星)・ナナヨノホシ(七夜の星,七曜の星)・ヒチヨノホシ(七夜の星)・ナナヨセボシ(七寄せ星)・ヒチヨウノホシ(七曜の星)・ヒチジョーサマ(七星様)・ヒチジョーケンサマ(七星剣様)・ナナマスボシ(七ます星)・シソウノホシ(四三の星)・シソノホシ(四三の星)・ヒシャクボシ(柄杓星)・ヒシャクノホシ(柄杓の星)・シャクノエボシ(杓の柄星)・シャクシボシ(杓子星)・シャモジボシ(しゃもじ星)・トッテボシ(把手星)・マスボシ(桝星)・サカマス(酒桝)・カギボシ(鍵星)・クラカギ(倉鍵)・ツルカケボシ(つる掛け星)・タテアミボシ(立網星)・ツボアミボシ(壺網星)・サホウボシ(作法星)・オニボシサン(鬼星さん)・ハリサシボシ(針刺し星)・ハリコボシ(針子星)・ナナホシテンコロバシ(七星天転ばし)・カナツキボシ(金突き星)・シチセキボシ(七石星)・タノクサボシ(田の草星)・カジマヤーブシ(風車星)・カジボシ(舵星)・カイジボシ(舵星)・ケンサキボシ(剣先星)・ケンボシ(剣星)・シチケンボシ(七剣星)・ヒチジョウケン(七星剣)・シソウノケン(四三の剣)・ハグンノホシ(破軍の星)・イクサボシ(戦星) 北斗七星の一部,α星とβ星を除いた5つの星に対しては,以下の名前がある。フナボシ(船星)・フネボシ(船星)・フニブシ(船星) |
星名 | 一般名 | 意味 | 派生 | 和名 | 光度 | スペクトル | 距離 | 絶対等級 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
α | ドゥベ | Dubhe | おおぐま | アラビア語 | 1.79 | K0* | 80 | ||
β | メラク | Merak | 腰 | アラビア語 | 2.38 | A1* | 80 | ||
γ | フェクダ | Phekda | おおぐまのまた | アラビア語 | 2.43 | A0* | 60 | +0.2 | |
δ | メグレズ カファ | Megrez Kaffa | つけね | アラビア語 | 3.31 | A3* | 75 | +1.9 | |
ε | アリオト | Alioth | 尾? | アラビア語 | 1.79(Var) | A0* | 50 | +0.2 | |
ζ | ミザール アナク・アル・バナト | Mizar Anak al Banat | 腰布 少女の首 | アラビア語 アラビア語 | 2.27 | A2* | 80 | ||
η | ベネトナシュ アルカイド | Benetnash Alkaid | 大きい棺台の娘達の頭 | アラビア語 | 破軍の星 | 1.88 | B3* | 170 | -2.1 |
θ | サリル・バナト・アル・ナシュ | Sarir Banat al Naash | 君主の会葬者 | アラビア語 | 3.18 | F6* | 65 | ||
ι | タリタ・ボレアリス | Talitha Borealis | 3つ目の足跡の北の星 | アラビア語 | 3.15 | A7* | 50 | ||
κ | タリタ・アウストラリス | Talitha Australis | 3つ目の足跡の南の星 | アラビア語 | 3.57 | A0* | 300 | ||
λ | タニア・ボレアリス | Tania Borealis | 2つ目の足跡の北の星 | アラビア語 | 3.45 | A2* | 150 | ||
μ | タニア・アウストラリス | Tania Australis | 2つ目の足跡の南の星 | アラビア語 | 3.03 | M0* | 105 | ||
ν | アルラ・ボレアリス | Alula Borealis | 1つ目の足跡の北の星 | アラビア語 | 3.46 | K3* | |||
ξ | アルラ・アウストラリス | Alula Australis | 1つ目の足跡の南の星 | アラビア語 | 4.41(Var) | G0* | |||
ο | ムシダ | Muscida | 鼻づら | ラテン語 | 3.35 | G5* | 150 | ||
π2 | ムシダ | Muscida | 鼻づら | ラテン語 | 4.59 | K2* | |||
σ1 σ2 | アル・ティバー | Al T.hiba_' | ガゼル(羚羊) | アラビア語 | 5.15 4.8 | K5* F7* | |||
τ | サリル・バナト・アル・ナシュ | Sarir Banat al Naash | 君主の会葬者 | アラビア語 | 4.67 | A* | |||
υ | サリル・バナト・アル・ナシュ | Sarir Banat al Naash | 君主の会葬者 | アラビア語 | 3.79 | F2* | |||
φ | サリル・バナト・アル・ナシュ | Sarir Banat al Naash | 君主の会葬者 | アラビア語 | 4.57 | A3* | |||
χ | アル・カフラー | Al Kaphrahs El Kophrah | カモシカの跳躍 | アラビア語 | 3.7 | K0* | |||
80(g) | アルコル | Alcor | かすかなもの | アラビア語 | 添え星 | 4 | A5* | ||
光度: Yale Catalogue of Bright Stars, (3nd edition) |
【コメント】
α星ドゥベ(Dubhe)は,“おおぐまの背”を意味するアラビア語,タール・アル・ドゥブ・アル・アクバル(T.hahr al Dubb al Akbar)が語源で,この中の“おおぐま”の部分が残ってこの星の名となった。
中国名は,天枢(てんすう)。
β星メラク(Merak)は,“おおぐまの腰”を意味するアラビア語,アル・マラク・アル・ドゥブ・アル・アクバル(al Mara_k.k. al Dubb al Akbar)が語源で,この中の“腰”の部分がこの星の固有名となった。うしかい座ε,アンドロメダ座βにも同じ名前がついている。
γ星フェクダ(Phecda, Phekda)は,“おおぐまのまた”を意味するアラビア語,ファハド・アルドゥブ・アル・アクバール(Al Fah.dh al Dubb al Akbar)が短縮されたもの。他に,ファクド(Phacd),フェグダ(Phegda),ファド(Phad)のような呼び方もある。
δ星メグレズ(Megrez)は,“おおぐまの尾のつけね”という意味のアラビア語,アル・マグレス(Al Maghrez)が語源で,“つけね”の部分が残ってこの星の名となった。
ε星アリオト(Alioth)は,カペラ(ぎょしゃ座α)のアラビア名である,アル・アイュク(Al Ayyu_q)が誤ってこの星につけられた。13世紀のスペインの星表『Los Libros del Saber de Astronomia』で初めて出現した。
ζ星ミザール(Mizar)は,“腰布”を意味するアラビア語,アル・ミザル(Al Mi'zar)が語源。古い時代はミラク(Mirak)と呼ばれた。
別名のアナク・アル・バナトは,ηの星名の語源となった3人の娘に由来していると考えられる。
η星ベネトナシュ(Benatnasch)又はアルカイド(Alkaid, Alcaid)は,両方とも“大きい棺台の娘達の頭”という意味のアラビア語,カイド・バナト・アル・ナアシュ(K.a_'id Bana_t al Na'ash)が語源で,ベネトナシュはこの後半,アルカイドは前半からできた名前。この名前は,北斗七星のαβγδの4星でできる四角形を棺を乗せる台,εζηの3星を,台を引く3人の娘達と見ている。
中国名は破軍星で,この星へ向かって軍隊を進めると敗れるという伝説による。和名の破軍の星,剣先き星,剣星もこれに因む。
大熊の首の辺りに散財するθτυφ等の星々についているサリル・バナト・アル・ナシュは“君主の会葬者たち”の意で,これも上述の棺台と関係していることが推測できる。
ι星とκ星は,合わせてタリタ(Talitha)と呼ばれ,“三つ目の足跡”という意味のアラビア語,アル・カフザ・アル・タリタハ(Al K.afzah al-tha_lithah.)が語源。ι星には“北の”を意味するラテン語の“ボレアリス Borealis”を冠し,κ星には“南の”を意味する“アウストラリス Australis”を冠して呼ぶ。
λ星とμ星は,合わせてタニアと呼ばれ,“二つ目の足跡”という意味のアラビア語,アル・カフザ・アル・タニア(Al K.afzah al Tha_niyah)が語源。λ星には“北の”を意味するラテン語の“ボレアリス”を,μ星には“南の”を意味する“アウストラリス”を冠して呼ぶ。
ν星とξ星は,合わせてアルラと呼ばれ,“一つ目の足跡”という意味のアラビア語,アル・カフザ・アル・ウラ(Al Ka.fzah al U_la)が語源。ν星には“北の”という意味のラテン語“ボレアリス”を,ξ星には“南の”という意味の“アウストラリス”を冠して呼ぶ。
ι&κ,λ&μ,ν&ξの名は,アラビアの“ガゼルの跳躍”という星座に由来しており,しし(しし座)の尾に怯えたガゼル(小型のレイヨウ)が,ピョン・ピョン・ピョンと3回跳んで池(こじし座が作る四辺形)に飛び込んだときの足跡(星の停車場 の おおぐま座 に図あり)。
なお,このガゼルが飛び込んだ“池”の位置については,君主の会葬者たち:θτυφが形作る半円であるとか,現在のかみのけ座であるという異説がある。
ο星ムシダ(Muscida)は,おおぐまの鼻先にあり,“鼻づら”を意味するラテン語(musum, musus)が訛ってできた名前。目の近くのπ2にも同じ名前がついている。
σ1・σ2星アル・ティバー(Al Thiba)は,アラビア語でガゼル(レイヨウ:羚羊)を意味し,もともとこの星の固有名ではなく付近の星で作られたアラビアの星座の名前。先述(ν星・ξ星の項)のガゼルと関係していると考えられる。
χ星アル・カフラーは,もともとκの名前だったものが,κとχの字が似ていることから誤記され,χの名として知られるようになった名前。“カモシカの跳躍”座のアラビア名が由来。
バイエル名g,フラムスティード80番星アルコル(Alcor)は,“かすかなもの”という意味のアラビア語,アル・カワール(Al Khawwar)が語源であるというのが痛切。古くは,アル・サダク(Al S.ada_k)という名前だったと言われ,これは“テスト”という意味で,ζ星ミザールのすぐそばにあることから,この2星が分離して見えるかどうかを視力検査に使われていた。また,ミザールを馬,アルコルを騎手(エクエス Eques)と見立てて“馬と乗り手”とも呼ばれた。
中国では輔星(ほせい)で,“車の添え木”“力添えするもの”という意味。日本ではこれを訳して添え星(そえぼし)と呼んだ。
変光星名 | 変光星型 | 光度範囲 | 周期 | スペクトル | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
R | M | 6.5-13.7 | 301.62 | M3E-M9E | |
S | M | 7.1-12.7 | 225.87 | S0.9E-S5.9E | |
T | M | 6.6-13.5 | 256.60 | M4IIIE-M7E | |
W | EW/KW | 7.75-8.48 | 0.33363749 | F8VP+F8VP | EW型の名前の由来になった星 |
VY | LB | 5.87-7.0 | − | C6.3(N0) | |
TX | EA/SD | 7.06-8.80 | 3.0632382 | B8V+G0III-IVEA |
【変光星型】 M:ミラ型, EW:おおぐまW型食変光星(光度曲線の形による分類), KW:おおぐまW型接触型(星の物理的状態による分類), LB:スペクトル型 K,M,C,S の不規則変光星, EA:アルゴル型食変光星(光度曲線の形による分類), SD:半分離型(星の物理的状態による分類)
【スペクトル型の前後の記号】 接尾記号 E :スペクトルに輝線あり
★ おおぐま座の神話については,星の停車場 の おおぐま座 をご覧下さい。
★ おおぐま座の探し方については,星座入門 の おおぐま座 をご覧下さい。