啓蟄と春分

 季節の歩みを話題にするとき,立春・大暑・白露・大雪などの名前をよく耳にします。
 これらは二十四節気(にじゅうしせっき)と言って,太陽の黄道上の位置によって決められた季節区分です。太陽の黄経(おうけい)(※)が0度になった時を“春分”,そこから太陽が15度進むごとに,清明・穀雨・立夏・小満…と名付けられています。

(※)黄経とは,天球上で太陽が通る道=黄道における経度のことです。春分の時の太陽の位置=春分点から東回りに計ります。


 七十二候(しちじゅうにこう)は,この二十四節気を細分化し気候を表したものです。
 区分が細かすぎて実用的でなく,実体不明な動植物の名も多いことから,現在では半夏生を除きあまり使われていません。

二十四節気と七十二候


啓蟄

 太陽の黄経が 345度。
 雨水から数えて15日目。太陽暦で毎年3月5日~6日頃。
 啓蟄(けいちつ)は,“土の中で冬ごもりしていた虫が地上に出てきて動き出す頃”という意味です。

初候蟄虫啓戸
すごもりむしとをひらく
地中から虫が出てくる頃
次候桃始笑
ももはじめてさく
桃の花が咲き始める頃
末候菜虫化蝶
なむしちょうとなる
青虫が蝶になる頃
啓蟄に迎える七十二候

春分

 啓蟄から数えて15日目。太陽暦で3月21日頃。
 春分(しゅんぶん)は,正確には太陽が春分点(※)を通る時刻のことで,この日,太陽は真東から昇り真西に沈み,昼と夜の長さが等しくなります。
 日本で祝日となる春分の日は,春の彼岸の中日にあたり自然を讃え生物を慈しむ日です。もともとは春季皇霊祭という,歴代の天皇の霊を祭る宮中の祭りの日でした。

※春分点:天球上で黄道と赤道が交わる2点のうち,太陽が赤道の南から北に通過する点。

初候雀始巣
すずめはじめてすくう
雀の巣作りが始まる頃
次候桜始開
さくらはじめてひらく
桜が咲き始める頃
末候雷乃発声
かみなりすなわちこえをはっす
春雷がとどろく頃
春分に迎える七十二候


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啓蟄と春分
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