中国旅行記 ★ 帰国

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最後の朝 (2000-01-06)

ホテルの窓から街を見下ろす

 午前6時半,ホテルの展望回転レストランにて朝食。せっかくの展望レストランなのに,雨でほとんど展望はできない。食事はバイキングで,私はしっかりパンと野菜とソーセージと卵と果物を食べたのだ。
 窓の外を眺めると静かに雨が降っていて,ホテルの窓から見下ろした街も雨にけぶってしっとりと暗い。さすがに上海は今まで泊まったどの街よりも都会で,見渡す限りに家並みが続いているのがわかった。

 荷物をまとめ集合時間にロビーへ集まると,賀さんが,搭乗手続きをしてくれる女性のガイドさん?を紹介してくれる。
 賀さんは空港内に入れないため,空港内に入れる免許を持っている別の旅行会社の人が手続きをしてくれるシステムになっているようだ。帰る直前になって,また新しい旅行社の人を紹介されるとは思わなかった。

 雨が降る最後の朝は,昨日までの暖かさが嘘のように冷え込んでいる。雨と共に寒波がやってくるらしい。まったく天気にも気候にも恵まれた旅行だったのだ。
 5日間お世話になったマイクロバスは,最初に私たちを乗せた上海空港へ向かって走り出す。上海の町は今まさに朝の活動を始めようとしているところで,民家のベランダにはハミガキをしながら通りを見下ろしているおじさんがいたりして,そんな風景を見ながら多くの人口を抱える上海の息吹を感じ取る。
 上海は,ゆっくり見ている暇もなかったけれど面白そうな街だった。また来てみたい。

上海空港

チェックイン・カウンター

 バスの中で,賀さんが最後のガイドをしてくれる。
 今回私たちが使った上海空港はもうすぐ(数ヶ月後)閉鎖になるそうで,次に来る時には新しい空港に降り立つことになるのだそうだ。今の空港は上海市内に近くて便利だが,新しい空港は今の空港よりもっと市の中心部からは離れた場所にできるとのこと。古い上海空港を利用できたことも,この旅の思い出の一つになるだろう。

 空港に着き,雨の中をドライバーさんがみんなのスーツケースを降ろしてくれた。ずっと運転してもらったというのに,よく顔を見る機会もなかったなぁと残念に思う。
 各自の荷物を受け取るとすぐにゲートに並ばねばならず,運転手さんにも賀さんにも,ちゃんとお礼を言う時間もなかったのが心残り。海外旅行のガイドさんとの別れはいつもこうだ。ありがとう,って言いたいのにね。

 賀さんから私たちを引き継いだ現地の旅行会社の女性は,その後テキパキと搭乗手続きを手伝ってくれる。別に旅行会社の人にやってもらわなくてもできるのだが,やっぱりプロがついていてくれると心強いし楽だと思う。
 一通り手続きが終わったところで彼女ともお別れで,その後の搭乗までのひとときは,土産物屋で最後のお買い物。どうしても手に入れたかったのが,賀さんのお奨めだった中国茶だったのだが,免税店には中国茶がいっぱいあって,どれがいいのかさっぱり分からない。とにかくお茶を購入し,残った元を使うために,そのほかパンダのクリップなどの細々した土産物を買って楽しんだ。

帰国

帰国の飛行機の前で

 帰りの便は行きと同じく中国東方航空で,上海発10時10分。
 バスに乗って飛行機の近くまで行き,歩いてタラップを登る。
 乗ってみると行きに乗った飛行機とはぜんぜん異なり,ビジネス8席,エコノミーも通路を挟んで3席ずつのとても小さな飛行機だった。お正月かクリスマスの仕様になっているせいか?,ビジネス席の両側には金銀モールの飾り付けがしてあって,中国に来た最初の夜のレストランの飾り付けを思い起こさせられた。

 機内食も出たが,これも行きと比べると実に質素で,同じ料金なのにどうしてこうも違うのだろうか思う。飛行機の大きさなのか,発着地の違いなのか? 行きの飛行機とは違ったデザインの2000年記念特製キーホルダーをもらい,これは嬉しい。
 雨の上海空港を飛び立って1時間半,陽光に照らされた九州が見えてきた。本当に,何て近いんだろう。またすぐに行けそうな気がして,旅の終わりも寂しくなかった。

 福岡空港に着くとバスが待っていて,熊本交通センターには15時過ぎに着いた。帰りはトイレ休憩もなく,疲れていた私たちもあまり喋らず,景色を見ながら「日本だなぁ」などと思いながら乗っていた。熊本交通センターからはタクシーに乗って家に帰るが,ポカポカ陽気。日本でも暖かいお正月だったのかなと思う。

 帰宅後両親は犬のタカをつれに行き,私はその間にお風呂を入れたり片づけたり。熱帯魚は出発前と変わりなく元気に泳いでいた。
 タカが帰ってきたところで,みんなで帰国の乾杯。すごく疲れていたはずなのに,何だか帰っただけで疲れがとれたような気がして元気になってしまった。家というのは不思議なところ。
 その後買ってきた中国茶器セットで中国茶を飲み,無錫のデパートで買った中国の新年のお菓子を食べ,私たちはしばらく旅行の余韻を味わった。食卓にチンゲンサイが乗ることが多くなったのも旅行の影響。初めて訪れた隣国は,異質なものと同質なものが交錯する,実に興味深い国だった。


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