Tcy:土山由紀子
Nto:内藤亮介
食変光星の代名詞,アルゴルです。2.1等から3.4等の変光範囲で,少々暗い空なら肉眼でも観測することができます。観測には低倍広角の双眼鏡などがあると便利でしょう。
今回の観測では極小を挟んで3時間ほど観測しています。
それぞれ,極小時刻を求めたところ,
Tcy: 20:09
Nto: 20:19
となりました。
極小時刻を求めるにあたっては,AVEというソフトを用いています。
次に,観測時刻の日心補正を行います。地球の公転により,対象の星の位置と観測する季節によって,公転直径分の最大で16分ほどの観測時刻の誤差が生まれます。したがって,地球での観測時刻(地心時)から太陽での観測時刻(日心時)に変換することによって誤差をなくします。
今回の観測では,日心補正は+0.0047(day)となりました。補正後(太陽中心で)の極小時刻は
Tcy(Hel.): 20:16
Nto(Hel.): 20:25
となりました。これをユリウス日で表すと
Tcy(Hel.): 2453568.969
Nto(Hel.): 2453568.921
となります。
日心補正を求めるにあたっては,日変研の永井和男さんのgeohelというソフトを用いています。
次に,観測によって得られた極小時刻(O)と,GCVSから求められる極小時刻の計算値(C)との差,O-Cの計算を行います。今回の観測での計算値Cは以下のようになっています。
C=2452568.9206888
よって,O-Cは
Tcy(O-C): 0.049
Nto(O-C): 0.056
となり,Tcyで0.049日,つまり70分。Ntoで0.056日,つまり81分のずれがあったことになります。要するに,計算値(予報値)より1時間強遅れて極小が来たことになります。
食変光星の観測はこのO-Cを求めることが一つの目的です。O-Cは少しずつ変化していき,その変化は,軌道の変化や,星の質量移動を物語っています。