vsolj-news 029: SN 1999gi in NGC 3184

                        VSOLJニュース  (029)

          さらに続く日本での超新星発見

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  VSOLJニュース(025), (028)で、日本での超新星発見をお伝えしましたが、
またもや日本で明るい超新星が発見されました。昨年から今年10月までの空白
が嘘のようです。

  IAUC 7329は、山梨県の串田麗樹さんが、12月9.82日(世界時)に撮影したCCD
画像から14.5等級の新天体を発見したと報じています。母銀河は、おおぐま座
μ星のすぐ西にあるface-onの渦巻銀河NGC 3184で、超新星の位置は赤経10時
18分16.66秒、赤緯+41度26分28.2秒(2000年分点)で、母銀河の中心核からほぼ
真北に60"ほどのところにあたります。スペクトルがアメリカのホイップル天
文台で撮影され、この天体は早期のII型超新星であると判明しています。

  母銀河の円盤部には、いくつか手前の星があります。ローウェル天文台の
Skiffさんが、これらの星の位置と明るさについて以下のようにまとめられて
います。CCDなどを用いた光度測定にはこの値を使うとよいでしょう。

Name      RA  (2000)  Dec    s     GSC       V    B-V   V-R   V-I 
A      10 18 16.4  +41 27 15 G  3004-0998  11.99  0.58  0.33  0.65 
B      10 18 19.9  +41 25 44 G  3004-0774  15.66  0.69
C      10 18 03.8  +41 23 49 A             15.81  0.66

超新星は、銀河の中心核とA星との中間あたりにあります。

  この銀河は、もっとも近い銀河団であるおとめ座銀河団の距離の半分程度、
およそ3000万光年ほどの距離にあると見られます。また、過去100年間に少な
くとも3個の超新星を生み出しています。そのうちもっとも明るかったのは、
写真等級で10.9等にまでなったIa型超新星1921Cです。他のふたつはII型超新
星で、13.5等級程度で観測されています。今回の超新星1999giは、II型である
こと、またスペクトルからかなりの星間吸収を受けているらしいことがわかっ
ていますから、13.0等級までは明るくならないかもしれませんが、今後の観測
が重要で、注目していきたい天体です。

							1999年12月11日

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