vsolj-news 055: bright SN (or hypernova?) 2001bb

                        VSOLJ ニュース (055)

      極超新星か? 明るくなりつつある超新星2001bb

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  近年、超新星の世界を賑わしているひとつに、極超新星(hypernova)と呼ば
れる現象があります。特に、波長がごく短い電磁波であるガンマ線が数十秒間
強く放たれるガンマ線バーストと同方向に、極超新星が発見された例があり
(SN 1998bwとGRB 980425)、ガンマ線バーストの一機構として注目されていま
す。昨日発見された超新星2001bbも、スペクトル観測から、極超新星の可能性
が言及されており、これからの光度やスペクトルの変化が注目されます。

  超新星2001bbは、Lick天文台の超新星探索チームと共同で超新星探索を行なっ
ているM. Schwartzさんが、4月29.3日(世界時、以下同様)に、うみへび座の渦
巻銀河IC 4319に発見されたものです。有名な渦巻銀河M83の1度強東にあたり
ます。超新星の位置は、赤経13時43分25.31秒、赤緯-29度48分13.1秒で、母銀
河の中心核から西に17"、南に1"ほどにあたります。中心核の西南西30"ほどの
ところに、14等ほどの前景の星があり、超新星はこの星と中心核のちょうど中
間にあります。発見画像は、
  http://astron.berkeley.edu/~bait/2001/sn2001bb.html 
で見ることができます。

  発見時の明るさは16.5等で、翌日の確認時には16.3等、またイタリアのS.
Massaroさんが30.9日に撮影した画像では15.8等ほどと、着実に明るくなって
いるところです。また、スペクトルが撮影され、水素の線が見えないところか
ら、この超新星はI型であることがわかりました。しかし、典型的なIa型に見
られる深いケイ素の吸収が弱く、サブクラスの判定はまだできていません。こ
れは、極超新星や、通常よりも明るいIa型超新星の特徴に似ています。この銀
河に典型的なIa型超新星が現われると、極大等級は15.6等ほどと期待されます
が、それよりも明るくなるかもしれません。今後の光度変化を追いかけること
が強く望まれます。USNO_A2.0星表を用いた比較星図が、
  http://www.ggw.org/asras/snimages/reference/i4319.jpg 
に用意されています。

							2001年 5月 2日

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