vsolj-news 073: Bright Nova in Sgr discovered by Pereira and Liller VSOLJ ニュース (073) Pereira と Liller、いて座に明るい新星を発見 著者 :加藤太一(京大理) 連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp IAUC No. 7706 によれば、ポルトガルの A. Pereira とチリの W. Liller がいて 座に明るい新星を独立発見しました。Pereira の発見は V4739 Sgr (Nova Sgr 2001 No. 2; VSOLJニュース 71,72参照) と同様に眼視によるもので、9月 5.846日 (UT) に 7.0等でした。Liller の発見は写真によるもので、9月 3.979日 (UT) にオレンジ フィルターを用いた写真に10.0等で写っていたとのことです。この観測から、この 新星は 9月 3日と 5日のわずかな間に急激に光を増したことがわかります。 プリズムを用いたスペクトル観測から、水素の輝線があるらしいことが Liller から報告されており、新星または類似の爆発型天体にほぼ間違いないものと思われ ます。現在は Nova Sgr 2001 No. 3 (日本語では、たとえばいて座2001年第3新星な どの呼称が用いられます)と呼ばれていますが、近々正式な最終名称が与えられるで しょう。 報告者によってまだ少し異なりますが、次の位置が報告されています(いずれも 2000年分点)。 18h 11m 45.82s, -30o 30' 49.9" (W. Liller) 18 11 46.01, -30 30 50.9 (A. Hale) 詳細なスペクトルがまだ得られていないこと、爆発前の星が十分に同定されてい ないことから、今後の減光の様子を推測することは難しいですが、水素の輝線がす でにかなり明瞭に現れているらしいことから、極大付近、あるいは極大を少し過ぎ た可能性があります。CarvajalからVSNETに報告された観測では、6.875日 (UT) に もまだ 6.8等であったことから、減光は比較的ゆっくりしているのかも知れません。 いずれにしても、しばらくの間は強力な双眼鏡か小型望遠鏡でも十分に見える光度 を保っているものと思われます。 観測用星図などは、VSNETのホームページでも公開されています。今後新しい観測 結果なども提供される予定です。 http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/Novae/nsgr01-3.html 2001年 9月 7日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJの速報メーリングリスト vsolj-alert にご加入いただくと便利で す。また、これらの天体についての科学的議論のためのメーリングリスト vsolj-sci もご利用いただけます。購読・参加お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。