vsolj-news 083: SN 2002ap in M74 VSOLJ ニュース (083) 広瀬洋治さん、M74に超新星2002apを発見 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp またもや明るい超新星の発見です。超新星2002an(佐野さんの発見、VSOLJニュー ス79、1月25日)を「今年これまでで最も明るい」と表現したとたんに、さらに 明るい超新星2002ao(Lick天文台自動撮像望遠鏡の発見、VSOLJニュース81、1 月28日)が続きましたが、今度はそれよりも明るいものです。発見者は茅ヶ崎 市にお住いの広瀬洋治さん、ベテランの天文愛好家です。超新星の明るさは、 31日夜に13.4等ほどとの報告があります。 超新星が出現したのは、うお座の銀河M74で、開いた渦巻をほぼ真正面から 見ている美しい銀河です。夕方の空で、うお座η星のすぐ東にありますから、 この季節、観望にたいへん好適です。私たちからの距離はおよそ8Mpcほどで、 たいへん近くにある銀河のひとつです。超新星の位置は、赤経1時36分23.87秒、 赤緯+15度45分13.2秒(2000年分点)で、銀河の中心から西に4.3分角、南に1.8 分角ほど離れたところにあたります。銀河円盤の腕の最外部で、見た目には銀 河本体からかなり外にあるように見えるでしょう。銀河に重なる前景の星がた くさんありますから、どの星が超新星か注意して見る必要があります。佐野さ んが撮影された画像が ftp://ftp.kusastro.kyoto-u.ac.jp/pub/vsnet/SNe/sn2002ap/sano0131.jpg で見られますので参考にされると良いでしょう。超新星をはさむように2つの 13等星があり、超新星は現在これらとほぼ同じくらいの明るさです。1月29.3 日に14.5等で発見されて以来2日で、すでに1等ほども明るくなっています。1 月25.2日には18等より明るい天体は見られなかったとの報告もあり、爆発後間 もない天体なのは確かです。 超新星のスペクトルがぐんま天文台(衣笠氏、河北氏)および美星天文台(綾 仁氏、川端氏)によって得られました。それによると、この超新星はたいへん 特異な、「極超新星」にも似たスペクトルをしていることがわかりました。 スペクトルのグラフが http://www.astron.pref.gunma.jp/images/gcs/SN2002ap.gif http://www.town.bisei.okayama.jp/bao/astro/sn/sn2002ap.gif で見られますが、吸収線の幅がごく広くてくぼみのように見え、たいへんな速 度で膨張していることがわかります。また、全体的に青っぽく、高温で若い状 態であることも見てとれます。 この特異な爆発天体の今後の光度やスペクトルの変化、また電波やX線といっ た他の波長での観測がたいへん切望されます。今後の変化については、 vsnet-campaign-sn2002ap@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp という新設メーリングリストで主に議論される予定です。全般的な情報は、D. Bishop氏のWeb page: http://www.RochesterAstronomy.org/snimages/ にも詳しく紹介されていきます。 2002年 2月1日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJの速報メーリングリスト vsolj-alert にご加入いただくと便利で す。また、これらの天体についての科学的議論のためのメーリングリスト vsolj-sci もご利用いただけます。購読・参加お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。