vsolj-news 091: multiple SNe in NGC 5468 VSOLJ ニュース (091) NGC 5468に超新星が2つ見えている 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 超新星は1つの銀河で数十年に1個程度の稀な現象ですが、たまに複数の超新 星が同時に同じ銀河で見られることがあります。今回紹介する渦巻銀河NGC 5468では、5月に山梨県の串田麗樹さんが超新星2000crを発見されました (vsolj-news 089)が、7月27日に、南アフリカのMonardさんによって新たな超 新星2002edが発見されました。発見時(27.77日世界時)には16.6等ほど、翌日 確認したときには0.1等ほど明るくなっています。23日撮影の画像では17.5等 より明るい天体はありませんでしたが、Lick天文台の自動撮像望遠鏡KAITでは 24日に撮影した画像では写っているということです。 新しい超新星は、位置が赤経14時06分38.2秒、赤緯-5度27分29秒で、母銀河 のNGC 5468の中心角からおよそ55秒角東、15秒角南にあたります。串田さん発 見の超新星2002crは中心から東に40秒角、北に50秒角ほどの位置でした。超新 星2002edの発見画像が、 ftp://vsnet.kusastro.kyoto-u.ac.jp/pub/vsnet/SNe/sn2002ed/ に置いてありますので御参照下さい。超新星2002crも、17.5等ほどで見えてい ます。 超新星2002crは、超新星の中でも明るいタイプであるIa型で、5月12日頃に は極大14.2等ほどに達しました。今回の超新星2002edも、もしIa型ならば、同 程度まで明るくなると期待されます。ただし、発見から2日間、発見時の明る さからあまり明るくなっていないため、Ia型極大前の急速増光期とは違うと考 えられます。いずれにしても、今後の分光によるタイプ判別と、光度変化の追 跡が望まれます。 なお、このNGC 5468銀河では、1999年にも超新星が発見されています。3-4 年間で3個という例は、 NGC 664 Sb: SNe 1996bw, 1997W, 1999eb NGC 6754 SAB(rs)bc SNe 1998X, 1998dq, 2000do がありますが、かなり珍しいものです。今回の例を含めて、母銀河はいずれも 腕の開いた渦巻銀河です。開いた渦巻銀河では活発な星形成が起きていること を反映したものといえます。 2002年 7月30日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJの速報メーリングリスト vsolj-alert にご加入いただくと便利で す。また、これらの天体についての科学的議論のためのメーリングリスト vsolj-sci もご利用いただけます。購読・参加お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。