vsolj-news 112: SN 2003hv in NGC 1201 VSOLJ ニュース (112) NGC 1201に超新星2003hvが出現 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp IAUC 8197(Sept. 10)で、ろ座の銀河NGC 1201で明るい超新星が発見された と報じられています。発見された9月9.5日(世界時、以下同様)に12.5等級と、 今年発見された超新星のうちで最も明るいものです。 この超新星は、Lick天文台のKatzman自動撮像望遠鏡(KAIT)によって発見さ れました。発見前の9月1.5日に同望遠鏡で撮影した画像にも13.0等級で写って いるのが確認されています。新天体の位置は、 赤経 3時04分09.32秒 赤緯 -26度05分07.5秒 (2000年分点) で、母銀河NGC 1201の中心から東に17秒、南に57秒ほどの位置にあたります。 NGC 1201は、ろ座とエリダヌス座の境界近くにあるレンズ状銀河で、超新星 はレンズのかなり外のほうに位置しています。この銀河は、エリダヌス座とろ 座にまたがる銀河群の一員で、おとめ座銀河団とほぼ同じ距離(7千万光年ほど) にあります。 レンズ状銀河や楕円銀河など、星生成が活発でない銀河では、大質量の星は すでに寿命を終えており、その最期の姿である重力崩壊型の超新星は観測され ません。これらの銀河に出現する超新星は、核爆発型(Ia型)の超新星に限られ ます。発見時の明るさからも、極大付近の核爆発型超新星と考えられます。さ らに未確認情報ですが、スペクトルからもこの天体がIa型超新星であると報告 されているようです(http://www.rochesterastronomy.org/supernova.html)。 この明るい超新星の、今後の光度変化が注目されます。 2003年 9月11日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJの速報メーリングリスト vsolj-alert にご加入いただくと便利で す。また、これらの天体についての科学的議論のためのメーリングリスト vsolj-sci もご利用いただけます。購読・参加お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。