vsolj-news 113: SN 2002lt and GRB 021211

                        VSOLJ ニュース (113)

         ガンマ線バーストに付随した超新星

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  明るい超新星2003hv(VSOLJニュース 112)が報じられたのと同じIAUC 8197
(Sept. 10)で、ガンマ線バースト(VSOLJニュース 106など)に付随した超新星
について報告されています。

  昨年12月11日(日付・時刻はすべて世界時)に出現したガンマ線バーストでは、
ガンマ線での検出の2分後に15等級の明るい残光が観測されました。この残光
は、国内ではぐんま天文台でも観測に成功していますが、バーストの3時間後
にはすでに20等級を下回り、数日後には25等級よりも暗くなってしまいました。
ところが、同じ場所を2003年1月9.7日になって撮影した画像では、24.5等ほど
に明るくなったところがとらえられました。このような、減光する残光に重なっ
て10日後以降に現われる増光成分は、おそらくガンマ線バーストに付随する超
新星によるものと考えられており、これまで数例の観測があります。

  この天体のスペクトルが、1月8.27日にヨーロッパ南天文台(ESO)の8.2m望遠
鏡VLTによって撮影され、その解析から、この増光する天体が超新星であるこ
とが確認されました。この報告から、増光成分には、超新星2002ltという超新
星としての名前も付けられました。増光成分がスペクトル観測され、超新星と
確認されたのは、GRB 030329に付随した超新星2003dh(VSOLJニュース 106)に
次いで2例目となります。

  謎の天体であったガンマ線バーストと、超新星とのつながりが、またひとつ
補強された例と言えるでしょう。

							2003年 9月11日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開
  等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典
  を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、
  VSOLJの速報メーリングリスト vsolj-alert にご加入いただくと便利で
  す。また、これらの天体についての科学的議論のためのメーリングリスト
  vsolj-sci もご利用いただけます。購読・参加お申し込みは
  vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで。
  なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。