vsolj-news 119: SN 2004B in IC 390 VSOLJ ニュース (119) 板垣さん、相次いで超新星を発見 著者 :山岡 均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんは、この1月9.84日(世界 時、以下同様)に、今年世界最初の超新星を発見されたばかりですが、わずか3 日後の12.569日に、今年2個目の超新星を見つけられました。この間、他の人 の超新星発見もなく、新しい超新星には、超新星2004Bと名前が付けられまし た。 超新星が出現したのは、オリオン座の足元近くにある、エリダヌス座の銀河 IC 390です。超新星は、銀河の中心から東へ12秒角、北へ15秒角ほどのところ で、銀河円盤の端近くに重なっています。板垣さんが測定された位置は、 赤経 4時42分04.71秒 赤緯 -7度12分08.2秒 (2000年分点) となっています。発見時の超新星の明るさは17.8等(フィルターなしCCD)、2日 後の14.599日に山梨県の串田麗樹(くしだれいき)さんが撮影した画像でも同じ くらいの明るさでした。 母銀河の距離から推測すると、この銀河にIa型超新星が出現すると、極大で 16等ほどになると思われます。しかし今回のものは、極大をずっと過ぎたもの か、別の型か、もしくは母銀河内の星間吸収を受けているかであろうと考えら れます。 超新星の画像などは、D. Bishopさんの超新星page、 http://www.rochesterastronomy.org/snimages/ で近々公開されていきます。 今回のように、ひとりが2個の新天体を1週間以内に相次いで発見したのは、 日本では、 矢中哲雄(やなかてつお)さん 1988年12月29日 彗星C/1988 Y1 (Yanaka)発見 1989年 1月 1日 彗星C/1989 A1 (Yanaka)発見 青木昌勝(あおきまさかつ)さん 1996年12月15日 超新星1996ca発見 1996年12月15日 超新星1996cb発見 という事例がありますが、かなり珍しいことと言えるでしょう。 参照:IAUC 8268 (Jan. 14) 2004年1月16日 補足;vsolj-news 118 > この銀河はかなり近い部類に属します。典型的なIa型超新星がこの銀河に出 >現すると、極大で12等台が期待されます。ただし、今回の超新星2004Aは、発 >見後1日経っても明るさがほとんど変化しなかったことから、より暗い重力崩 >壊型の超新星である、もしくは母銀河内の星間物質によって吸収を受けている >ことが考えられます。今後、分光タイプの決定や光度変化の追跡が待たれます。 ぐんま天文台と美星天文台が1月13.8-13.9日に撮影したスペクトルから、超 新星2004Aは、爆発後それほど時間の経っていないII型超新星であろうと推定 されました。 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。 山岡@九大理 です。 VSOLJ ニュース (119)で、 > 今回のように、ひとりが2個の新天体を1週間以内に相次いで発見したのは、 >日本では、 > >矢中哲雄(やなかてつお)さん 1988年12月29日 彗星C/1988 Y1 (Yanaka)発見 > 1989年 1月 1日 彗星C/1989 A1 (Yanaka)発見 > >青木昌勝(あおきまさかつ)さん 1996年12月15日 超新星1996ca発見 > 1996年12月15日 超新星1996cb発見 > >という事例がありますが、かなり珍しいことと言えるでしょう。 と紹介しましたが、さらに独立発見まで含めると、 森 敬明(もり ひろあき)さん 1975年10月 5.74日UT 彗星C/1975 T1 (Mori-Sato-Fujikawa)発見 1975年10月 5.79日UT 彗星C/1975 T2 (Suzuki-Saigusa-Mori)発見 という事例もあります。御教示いただいた福島県の佐藤裕久さん、ありがとう ございました。 九州大学(六本松地区)理学部物理学教室 山岡 均 〒810-8560 福岡市中央区六本松4-2-1 yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp