vsolj-news 120: SN 2004G in NGC 5668 VSOLJ ニュース (120) 串田さんも超新星2004Gを発見 著者 :山岡 均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 山梨県の串田麗樹(くしだれいき)さんは、これまでに10個以上の超新星を発 見されている捜索者です。彼女は、1月19.86日(世界時、以下同様)に撮影した 画像から、17.2等の超新星2004Gを発見されました。自身、昨年の超新星2003J の独立発見以来の発見です。 超新星が出現したのは、おとめ座の東端近くにある渦巻銀河NGC 5668で、超 新星は、銀河の中心から西へ43秒角、南へ13秒角ほどのところで、円形の銀河 円盤の端近くに重なっています。この銀河には輝点状の箇所(H II領域や巨大 な星団)が多く、また前景の星もあるため、同定には注意が必要です。串田嘉 男(くしだよしお)さんが測定された位置は、 赤経 14時33分21.40秒 赤緯 +4度26分49.5秒 (2000年分点) となっています。 この超新星は、発見の翌日の1月20.722日に、山形市の板垣公一(いたがきこ ういち)さんによって確認されました。その時の明るさは17.5等と報告されて います。また、板垣さんが以前の画像を調べたところ、1月11.78日に撮影した 画像でも16.8等で写っていることがわかりました。連携によって新天体の確認 が迅速に行なわれるようになってきています。 NGC 5668では、これまで2例の超新星が出現しています。超新星1952Gは、過 去の写真の調査から発見されたもの(17.9等)です。もうひとつの超新星1954B は、I型(おそらくIa型=核爆発型)で、極大がB = 12.8等と記録されています。 これらから、今回の超新星2004Gは、極大を過ぎた重力崩壊型のものかと推測 されますが、今後の分光観測が待たれます。 超新星の画像などは、D. Bishopさんの超新星page、 http://www.rochesterastronomy.org/snimages/ で近々公開されていきます。 参照:IAUC 8272 (Jan. 20) 2004年1月21日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。
Subject: Re: vsolj-news 120: SN 2004G in NGC 5668 >これらから、今回の超新星2004Gは、極大を過ぎた重力崩壊型のものかと推測 >されますが、今後の分光観測が待たれます。 1月21.2日にヨーロッパの複数の天文台で分光観測が行なわれ、串田さん発 見の超新星2004Gは、爆発から5か月ほど経ったII型超新星であると判明しまし た。 九州大学(六本松地区)理学部物理学教室 山岡 均 〒810-8560 福岡市中央区六本松4-2-1 yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp