vsolj-news 136: SN 2005ad in NGC 941 VSOLJ ニュース (136) 板垣公一さんが、引き続いてNGC 941に超新星2005adを発見 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 山形県にお住いの板垣公一さんは、昨日超新星2005abの発見をお伝えしたば かり(VSOLJ-news 135)ですが、引き続いてまた超新星を発見されました。出現 したのは私たちからたいへん近くにある銀河です。 超新星が出現したのは、くじら座の銀河NGC 941で、腕の開いた渦巻銀河を ほぼ正面から見た形をしています。板垣さんは、2月6.402日(世界時、以下同 様)に撮影した画像から、17.4等級の新しい光点を見いだしました。超新星の 位置は、 赤経: 2時28分29.45秒 赤緯: -1度08分20.0秒(2000年分点) で、銀河の中心から東に23秒角、北に45秒角のところになります。天体の存在 は、翌夜(7.434日)に板垣さん自身が確認していますが、このときには超新星 は16.6等に増光していました。爆発後間もないものと考えられます。 NGC 941はたいへん近くにある銀河で、母銀河での吸収がない典型的なIa型超 新星ですと13等台も期待されます。今回の超新星について、早期の分光と、継 続的な測光観測が非常に望まれます。この天体は夕空にあり、これから太陽に 近付いていくのが残念です。 板垣さんは、昨年も超新星2005Aと2005Bを3日間隔で発見されました。今回は、 超新星2005abが2月6日未明、超新星2005adが6日の夕方と、日本時間では同じ 日に2つの天体を発見されたことになります。このような例は、日本人では、 森敬明(もりたかあき)さん 1975年10月5日 彗星C/1975 T1と1975 T2を発見 青木昌勝(あおきまさかつ)さん 1996年12月15日 超新星1996caと1996cbを発見 があるくらいで、かなり珍しいものと言えましょう。 参考文献: IAUC 8479 (2005 Feb. 7) 2005年2月8日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。 山岡@九大理 です。 2月8日に出しました、 > VSOLJ ニュース (136) > 板垣公一さんが、引き続いてNGC 941に超新星2005adを発見 の中で、 >森敬明(もりたかあき)さん 1975年10月5日 彗星C/1975 T1と1975 T2を発見 と書きましたが、森さんのお名前の読みは「もりひろあき」さんが正しいもの です。たいへん失礼致しました。御指摘をいただいた皆様に感謝致します。 九州大学(六本松地区)理学部物理学教室 山岡 均 〒810-8560 福岡市中央区六本松4-2-1 yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp