vsolj-news 160: SN 2006jc in UGC 4904 VSOLJ ニュース (160) 山形の板垣さん、特異?な超新星2006jcを発見 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 山形県山形市にお住まいの精力的な天体捜索者、板垣公一(いたがきこうい ち)さんが、またもや超新星を発見されました。今回の天体とほぼ同じ方向で は、2年前にも板垣さんによって小増光がとらえられており、この天体がどん なものなのか、解明が切望されます。 板垣さんが13.8等級の超新星2006jcを発見したのは10月9.752日(世界時、以 下同様)のことです。アメリカのパケット(T. Puckett)さんのグループも独立 に10.33日に撮影した画像でこの天体を発見しています。天体の位置は、 赤経 9時17分20.78秒 赤緯+41度54分32.7秒 (2000年分点) で、おおぐま座の渦巻銀河UGC 4904の中心からおよそ11"西、7"南にあたりま す。9月21.793日には19.5等より明るい天体はありませんでした。爆発から20 日以内の天体ということになります。 国外で得られたスペクトルから、この天体は、秒速5000kmほどで膨張する大 気を持つものとされ、爆発天体=超新星であると判明しました。また、そのス ペクトルの特徴から、おそらくUGC 4904銀河に属する天体であることもわかり ました。スペクトル線は、ヘリウムや酸素の特徴とも考えられるとのことです が、たいへん特異なもののようで、今後の変化と詳細な解析を待つ必要がある と思われます。 さて、この天体の位置には、2年前にも板垣さんによって、18等ほどの暗い 天体が見つかっていました。当時、1950年代から1990年代に、より大きな望遠 鏡で撮影されたアーカイブ画像を調べたところ、この同じ位置には20等ほどの 天体が写っている画像もあれば、21等より明るい天体は見られない画像もあり ました。2年前の天体は、スペクトルが撮影されることもなく暗くなってしま い、そのときは謎のまま、公表されませんでした。今回の超新星が、このとき の天体と関係があるのか、また今回の超新星の正体がどのようなものなのか、 今後の研究の進展がたいへん期待されます。 参考文献: CBET 666 (2006 Oct 11) CBET 672 (2006 Oct 12) 2006年10月13日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。