vsolj-news 188: SNe 2008A and 2008B

                        VSOLJ ニュース (188)

            日本人アマチュア天文家による相次ぐ超新星発見

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  先ほど、除夜の鐘とともに発見された超新星についてニュースを書いた
(VSOLJ ニュース (187))ばかりですが、それに引き続いて、新年を迎えてから
の日本人アマチュア天文家による超新星発見が2件公表されました。発見者は、
埼玉県比企郡吉見町の市村義美(いちむらよしみ)さんと、山形県山形市の板垣
公一(いたがきこういち)さん、いずれもこれまで多数の天体発見の実績がある
ベテラン捜索者です。

  市村さんは、1月2.54日(世界時、以下同様)に28cmシュミットカセグレン式
望遠鏡を用いて撮影した画像から、17等ほどの明るさの超新星に気付きました。
板垣さん、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さん、神奈川県茅ヶ崎市
の広瀬洋治(ひろせようじ)さんによって3日に確認され、超新星2008Aの符号が
付けられて公表されました。天体の位置(門田さんによる測定)は、

    赤経   1時38分17.48秒
    赤緯 +35度22分13.0秒 (2000年分点)

で、さんかく座の渦巻銀河NGC 634の中心から西に15秒角、北に19秒角離れた
ところにあたります。この銀河には昨年、超新星2006Qも出現しており、相次
いでの出現となりました。

  一方、板垣さんは、雪がちな山形の冬の天気を避けるために栃木県高根沢に
設置した30cm反射望遠鏡を用いて、1月2.84日に撮影した画像に、16.4等の超
新星を見いだし、翌3日に自身で確認して、超新星2008Bと命名されました。超
新星の位置(板垣さん測定)は、

    赤経  15時02分43.65秒
    赤緯 +23度20分07.8秒 (2000年分点)

で、うしかい座の渦巻銀河NGC 5829の中心から23秒角東、7秒角北にあたりま
す。この銀河は、もうひとつの銀河と近接遭遇して形が乱され、活発な星形成
をしているところなので、今回の超新星も形成されて間もない大質量星がその
短い生涯を終える時の爆発(重力崩壊型超新星)と考えられますが、超新星
2008Aともども、今後の分光観測によるタイプ判別や光度変化の追跡が望まれ
ます。

  このところ、超新星は年間500個ほども発見されており、年間最初の発見は
正月早々なされることが多くなっています。21年前の2月23日、大マゼラン銀
河に出現した超新星1987Aは、この年最初に発見された超新星だったことを思
い出すと、隔世の感があります。昨年最初の超新星2007Aは1月2日にPuckettさ
んたちが発見し、それに続く超新星2007B、2007Cは板垣さんが発見しました
(それぞれ1月5日、7日)。また、2004年には、超新星2004A、2004Bをいずれも
板垣さんが発見されています(それぞれ1月9日、12日)。日本のアマチュア天文
家の方々の活躍には、目をみはるばかりです。

参考文献:CBET 1193 (2008 Jan. 3)
          CBET 1194 (2008 Jan. 3)
                                                        2008年1月4日

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