vsolj-news 196: Nova Ophiuchi 2008 VSOLJ ニュース (196) へびつかい座に新星が出現 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp へびつかい座は、夏の天の川が通っており、新星が多く出現する星座のひと つです。そのへびつかい座に、新星が発見されました。発見したのは、福岡 県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお)さんのおふたりのグループ、静岡県掛川市の西村栄男さん、 そして愛知県豊橋市の長谷田勝美さん(報告順)です。西山さん椛島さんは、先 月も銀河系内の新星を2つ発見しており(VSOLJニュース193, 194)、精力的に活 躍されています。 新星らしき天体は、5月25日の観測で発見されました。天体の位置は、 赤経 17時39分50.93秒 赤緯 -23度50分00.9秒 (2000年分点、西山・椛島さんによる測定) です。この位置には昔の画像では、20等より明るい天体は見当たりません。ま た、20日には12.4等より明るい星はありませんでした(西山・椛島さん)。それ が、25日には10.2等ほどで発見されたのです。増光から5日以内の天体であろ うと推定されます。 この天体は20等以下から10等へ、1万倍ほど以上明るくなったことになり、 古典新星であろうと考えられました。さらに、26日夜に岡山県井原市の美星天 文台、および倉敷市の藤井貢さんが撮影したスペクトルでは、水素の線が爆発 天体特有の形を示しており、古典新星であることがはっきりしました(vsolj 8980, 8981)。かなり星間吸収を受けているらしく赤く見えますが、おそらく 発見時は極大よりも前で、今後明るくなる可能性もあり、推移が楽しみです。 新星の画像: http://www.rose.ne.jp/~meineko/ccd/OPHnova2008-080526.jpg 新星のスペクトル: 美星天文台 http://www.bao.go.jp/astro/2008/temp/PNOph20080526.png 藤井貢さん http://www1.harenet.ne.jp/~aikow/etc/nova_oph_2008_20080526.gif 参考文献:IAUC 8947 (2008 May 26) 2008年5月27日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。