vsolj-news 201: Supernova fv in NGC 3147 VSOLJ ニュース (201) 山形市の板垣さん、増光中の超新星を発見 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp 超新星をはじめとする爆発天体は、爆発から時間が経つと透けて内部のよう すが見えてくる一方で、外側については爆発直後にしか詳細に調べることがで きません。爆発後間もなく超新星が発見されると、貴重な研究対象として重視 されます。超新星を多数発見してきた山形県山形市の板垣公一(いたがきこう いち)さんが今回発見した超新星は、そのような爆発直後のものと推定され、 今後の研究が期待されるものと言えるでしょう。 板垣さんは、9月27.78日(世界時、以下同様)前後に60cm反射望遠鏡で撮影し たCCD画像から、16.5等の新しい天体を見つけました。天体の位置は、 赤経: 10時16分57.28秒 赤緯: +73度24分36.4秒 (2000年分点) で、おおぐま座とりゅう座の境界近く(りゅう座側)にある渦巻銀河NGC 3147の 中心核から東に16秒角、北に34秒角のところにあります。翌日の28.569日に板 垣さんがこの天体を確認したところ、16.1等と明るくなっていました。一方、 板垣さんが9月10.80日に撮影した画像では、18.5等よりも明るい天体は写って いませんでした。爆発してそれほど時間の経っていない超新星と推定されます。 この銀河にはこれまでに、超新星1972H(Ia型)、超新星1997bq(Ia型)、超新 星2006gi(Ib型)の3個の超新星が発見されてきました。最後のものは、同じく 板垣さんが発見されたものです(VSOLJニュース(158))。前2者は極大時には15 等ほどとなりました。今回の超新星の分光タイプはまだ決定されていませんが、 Ia型(メカニズムとしては核爆発型)であればこれからまだ明るくなるものと思 われます。今後の追観測が期待されます。 参考文献:CBET 1520 (2008 Sept 28) 2008年9月29日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。