vsolj-news 206: SN 2008ie in NGC 1070

                        VSOLJ ニュース (206)

                   広瀬洋治さん、超新星を独立発見

                                         著者  :島田雅史・山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp

 2008年最初のVSOLJニュース(187)では、日本で年明けを迎えた直後に神奈川
県茅ヶ崎市にお住まいの広瀬洋治(ひろせようじ)さんが超新星を発見したこと
をお伝えしました。それからほぼ1年、その広瀬さんが、今度はくじら座の銀
河NGC 1070に超新星2008ieを発見されました。

 この超新星に世界で最初に気付いたのは、南米に観測拠点を持つチェイス
(CHASE)プロジェクトチームで、12月15.16日(世界時、以下同様)に撮影した画
像から新天体を発見しました。いっぽう広瀬さんは、それから約10時間後の
15.56日に撮影した画像で、独立に超新星の存在に気付きました。超新星の位
置(チェイスチームによる測定)は、

    赤経: 2時43分20.80秒
    赤緯:+ 4度58分19.1秒 (2000年分点)

で、NGC 1070の中心核からは西に22秒角、北に13秒角のところにあたります。
これまでに報告されている明るさは、

12月 3日    >17.5C 広瀬
     6.17日  17.1R チェイス
    15.16日  16.4R  〃
    15.56日  16.9C 広瀬

となっており、爆発から2週間は経っていないことが伺われますが、分光タイ
プの判別は今後の観測が待たれます。

 広瀬さんの発見で始まった日本人による今年の超新星捜索は、これまた広瀬さ
んの発見によって終わるのでしょうか。それとも残り半月、他の捜索者によっ
てまた別の超新星が発見されるのでしょうか。いずれにせよ、来年以降も日本
のアマチュア天文家の活躍からは目が離せそうにありません。

参考文献:CBET 1618 (2008 Dec. 15)

                                                        2008年12月16日

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