vsolj-news 212: SN 2009ds in NGC 3905 VSOLJ ニュース (212) 日本で発見された超新星を日本の公開天文台で分光 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 超新星のような爆発現象は、時々刻々と変化していきますから、爆発直後の 情報は、あとになっては知ることができません。また、発見後には超新星から の光を波長別に分けて調べる「分光」観測によってタイプ判別を行なってはじ めて、その超新星の素性がわかり、さらなる追跡観測の方針を立てることがで きるようになります。変動天体の追跡観測は、まさに「一刻を争う」のです。 山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんは、コップ座の銀河NGC 3905を、 4月28.56日(世界時、以下同様)に撮影した画像で、16.8等の新天体を発見しま した。天体の位置は、 赤経 11時49分04.11秒 赤緯 -9度43分44.9秒 (2000年分点) で、NGC 3905の中心核から西に12秒角、北に3秒角のところにあたります。 発見報を受け、群馬県立ぐんま天文台では、この超新星の分光観測に挑戦し ました。29日夜には天候に恵まれず、タイプがはっきりするまでには至りませ んでしたが、翌30日夜の観測で、この超新星がIa型超新星であること、爆発し て最も明るくなる極大の1週間ほど前であることが判明しました。この結果は、 世界に先駆け、すぐさま発表されています。 発見に即時観測にと、日本の天文界の活躍はたいへんめざましいと言えるで しょう。 参考文献:CBET 1784 (2009 Apr. 29) CBET 1788 (2009 Apr. 30) 2009年5月1日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。