Subject: vsolj-news 214: SN 2009fu in NGC 846 VSOLJ ニュース (214) 遠隔地の望遠鏡で超新星発見を確認 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 6月に入って、日本列島はまもなく梅雨の季節。各地で曇り空となり、天体 の発見や確認が思うようにいかない頃です。そんな中、ひじょうに活発に超新 星捜索を続けておられる、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんは、明け 方の空にあるアンドロメダ座の銀河NGC 846に15.7等の超新星を発見されまし た。 板垣さんが超新星に気づいたのは、6月1.746日(世界時、以下同様)に撮影し た画像でした。日本時間でいうと、2日の未明にあたります。超新星の位置は、 赤経 2時12分09.00秒 赤緯 +44度33分55.0秒 (2000年分点) で、渦巻銀河NGC 846の中心から36秒角西、11秒角南にあたります。 通常、超新星などの新天体は、発見者自身が次の夜に確認するか、別の観測 者によって確認されたのちに公表されます。しかし2日から3日にかけて日本全 国の天気は下り坂で、板垣さん自身や日本国内の天文台では確認観測をするこ とはできませんでした。そこで、精力的に変光星を観測しておられることでも 知られるつくば市の清田誠一郎(きよたせいいちろう)さんは、アメリカのニュー メキシコ州に置かれた望遠鏡をインターネット越しに遠隔操作して3.45日にこ の天体を観測し、超新星が実在することを確認しました。これを受けて新天体 は、超新星2009fuと命名され、公表されることになりました。 天体の発見・確認には、多数の人々がさまざまな手段で尽力されています。 改めてそのご努力に敬意を表したいところです。 参考文献:CBET 1832 (2009 June 3) 2009年6月4日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。