Subject: vsolj-news 217: SN 2009hi in NGC 7647 VSOLJ ニュース (217) 銀河団中心の巨大楕円銀河に出現した超新星 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 銀河が数百個から数千個も集まってできている「銀河団」では、たびたび銀 河の衝突が起きてきたと考えられています。衝突の結果、いくつかの銀河は合 体して大きな楕円銀河となり、銀河団の中心的な存在となります。そのような 銀河のひとつ、ペガスス座のNGC 7647に、超新星が発見されました。発見した のは、日本屈指の超新星ハンター、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さん です。 板垣さんは、7月10.722日(世界時、以下同様)撮影の画像から、18.0等の新 天体に気づきました。改めて以前の画像を調べてみたところ、5.724日にも 18.7等で写っていることがわかりました。これとは独立に、アメリカのLick天 文台に置かれたKatzman自動撮像望遠鏡も、10.49日に17.6等、11.47日に17.7 等でこの天体を発見しました。板垣さんが測定した超新星の位置は、 赤経 23時23分56.24秒 赤緯 +16度46分30.0秒 (2000年分点) で、銀河の中心から西に17秒角、南に8秒角にあたります。 母銀河が星生成が活発ではない楕円銀河であることから、この超新星は、短 寿命の大質量星起源である「重力崩壊型」ではなく、連星をなす白色矮星に伴 星からガスが流れ込んで、白色矮星が中心で核爆発を起こした「核爆発型超新 星」である可能性が高そうです。5億光年強と推定される距離からも、発見時 の明るさは核爆発型超新星の極大前〜近くと考えてよさそうです。今後の分光 観測によるタイプ判別が待たれるところです。 参考文献:CBET 1872 (2009 July 12) 2009年7月12日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。