vsolj-news 218: Nova Sagittarii 2009 No. 3 いて座に今年3個目の新星が出現、増光中 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 夏の南の夜空を彩るいて座は、私たちの銀河系の中心方向にあるので、領域 内の星がたいへん多く、変光星や新星といった天体も大量にみつかっています。 そのいて座に、今年3個目の新星が発見されました。発見したのは、福岡県久 留米市の西山浩一(にしやまこういち)さん、佐賀県みやき町の樺島冨士夫(か ばしまふじお)さんのチームです。彼らは今年4月にもいて座に新星を発見して いる、たいへん熱心な捜索者です。 彼らは、8月6.494日(世界時、以下同様)に、焦点距離105mmのカメラレンズ とCCDで撮影した画像から、7.7等級の新天体に気付きました。直後に40cm望遠 鏡で撮影した画像で測定した位置は、 赤軽 18時07分07.67秒 赤緯 -33度46分33.9秒 (2000年分点) でした。この位置には、7月22.531日などに撮影した画像には、12.7等級より 明るい天体は写っていませんでした。また、全天自動サーベイシステムASAS3 も、6.182日にこの天体を独立発見しています。ASAS3で4.152日に撮影した画 像では、この位置には天体は見られません。おそらく増光後間もなく発見され たものと思われます。 岡山県の藤井貢(ふじいみつぐ)さん、広島大学のかなた望遠鏡は、7日にこ の天体の分光観測を行っています。その結果、天体は毎秒2000kmを超える高速 で膨張しており、古典新星であることが判明しました。7日にはやや増光して いるとの報告もあり、今後の変化が楽しみです。 参考文献:CBET 1899 (2009 Aug. 7) 2009年8月8日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。