Subject: vsolj-news 220: SN 2009im in NGC 1355 VSOLJ ニュース (220) 明け方の空に発見された超新星2009im 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 残暑厳しいとはいえ、秋分も間近となり、徐々に夜も長くなってきました。 観測時間が長く取れ、一晩で観測できる空の範囲も広くなるため、天体発見も 増えてくるかもしれません。その皮切りでしょうか、山形市の板垣公一(いた がきこういち)さんが、エリダヌス座の方向に、超新星を発見しました。エリ ダヌス座と言えば冬の星座ですが、明け方にはじゅうぶん観測できるほど昇っ てきています。 板垣さんは、24.73日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、15.6等の明 るさの新天体に気づきました。新天体の位置は、 赤経 3時33分22.07秒 赤緯 -4度59分56.4秒 (2000年分点) で、母銀河であるNGC 1355の中心から西に21秒角、南に2秒角弱のところにあ たります。宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんは、25.65日にオーストラ リアのリモート望遠鏡を用いてこの天体を確認しています。新天体には、超新 星2009imの符号がつけられました。 NGC 1355はレンズ状銀河と呼ばれる形状をしています。レンズ状銀河は、楕 円銀河と同様、星生成が不活発な銀河であると考えられています。したがって 超新星2009imは、寿命が短い大質量星が起源となる「重力崩壊型」ではなく、 星の誕生から爆発までに時間がかかる「核爆発型」の超新星ではないかと考え られます。今後、分光によるタイプ判別や、光度変化の追跡が楽しみです。 参考文献:CBET 1925 (2009 Aug. 25) 2009年8月26日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。