Subject: vsolj-news 222: bright and fast nova in M31 VSOLJ ニュース (222) アンドロメダ座大銀河に明るい新星が出現 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp アンドロメダ座大銀河M31は、わたしたちの銀河系よりもやや大きい恒星の 大集団で、私たちから220万光年ほどの距離にある、もっとも近い大規模銀河 です。M31は、星の数が多く、また銀河全体が見渡せるため、毎年数十個の新 星が発見されています。私たちの銀河系では、銀河円盤にある星間物質によっ て光が吸収されて見通しがきかないため、新星も私たちの近くに出現する年間 数個程度しか見つかりません。つまり、M31の新星はありふれた存在なのです。 しかし、もっとも近いと言ってもそれなりに距離があるため、M31の新星は、 私たちの銀河系に出現するものに比べてかなり暗く見えます。ほとんどのもの はもっとも明るい時期(極大)でも17-18等止まりで、15等より明るくなるもの はこれまでに数個しか見つかっていません。このたび発見された新星は、最大 で14.6等まで明るくなりました。これは、これまで知られているM31の新星の なかでも、もっとも明るい部類です。 この新星は、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが11日夕方(日本時) に発見したものです。福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐 賀県みやき町の椛島冨士男(かばしまふじお)さんのチームも独立に発見されま した。新星は、 赤経: 0時42分20.77秒 赤経:+41度16分44.5秒 (2000年分点) の位置にあります。板垣さんの発見画像は http://www.k-itagaki.jp/images/m31-10-11.jpg で見ることができます。 発見時に17等ほどであったこの新星ですが、徐々に明るくなってきました。 板垣さんによって観測された明るさは、 11日 17.8-16.9等 12日 16.4等 13日 15.3等 14日 15.0等 15日 14.9等 16日 14.6等 となっています。15日に美星天文台やぐんま天文台でスペクトル観測が行なわ れ、この天体は、発見後明るくなって極大後急に暗くなった2007年の新星さそ り座V1280の、極大2日前の姿に良く似ていることが報告されています。 19日に板垣さんが観測したところ、新星は15.5等級と減光に転じており、現 在、この新星は急速に暗くなっているところです。ここ数日にこの銀河を撮影 された人は、一度画像をチェックしてみてはいかがでしょうか。今後の変化か ら眼が離せないところです。 参考文献:CBET 1967 (2009 Oct. 11) CBET 1971 (2009 Oct. 12) CBET 1973 (2009 Oct. 15) CBET 1980 (2009 Oct. 18) 2009年10月19日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。