Subject: vsolj-news 224: SN 2009kr in NGC 1832 VSOLJ ニュース (224) 近傍銀河に増光中の超新星 著者 :山岡均(九大理) 連絡先: yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp うさぎ座の棒渦巻銀河NGC 1832に超新星が発見されました。この銀河は比較 的私たちの近くにあり、もし白色矮星が核爆発したもの(核爆発型超新星、ス ペクトル的にはIa型超新星と分類される)であれば13等級ほどまで明るくなる 可能性があります。超新星を発見したのは、山形市のベテラン天体捜索家、板 垣公一(いたがきこういち)さんです。 板垣さんは、11月6.73日(世界時、以下同様)に撮影した画像に、16.0等の超 新星を見つけました。この天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さん、 埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんによって確認され、超新星 2009krの符号が付与されました。超新星の位置(板垣さんの測定)は、 赤経 5時12分03.30秒 赤緯 -15度41分52.2秒 (2000年分点) で、母銀河であるNGC 1832の中心からほぼ真南に36秒角のところにあたります。 発見翌日(7.607日)の板垣さんの観測では、超新星は15.7等と少し明るくなっ ており、増光中であることが推測されます。発見画像は http://www.k-itagaki.jp/images/ngc1832.jpg で見られます。 NGC 1832は、私たちから1億光年弱の距離にある、割合に近い銀河です。この 銀河に、超新星のなかでも明るいものである核爆発型超新星が出現すれば、そ の極大等級は13等ほどになると期待されます。今後の明るさの推移と、スペク トル観測による型の判別が待たれます。 参考文献:CBET 2006 (2009 Nov. 8) 2009年11月8日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。