Subject: vsolj-news 238: SN 2010ai in Coma cluster VSOLJ ニュース (238) かみのけ座銀河団に超新星出現 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp かみのけ座銀河団は、距離およそ3億光年、たいへん多数の銀河からできて いる「リッチな」銀河団です。そのかみのけ座銀河団に、超新星が発見されま した。発見したのは山形市の板垣公一(いたがきこういち)さん、これまで数多 くの新天体を発見してきたベテラン天体捜索家です。 板垣さんは、3月11.755日撮影の画像から、16.9等の新天体を見つけました。 位置は、 赤経 12時59分24.03秒 赤緯 +27度59分47.1秒 (2000年分点) で、もっとも近くにある銀河の中心から12秒角西、1秒角南にあたります。こ の天体は、海外の研究者たちのグループによっても独立に発見されました。ま た、分光観測がなされ、極大数日前のIa型超新星であると判明しています。 リッチな銀河団では、銀河どうしが衝突した結果、楕円銀河が多くなります。 今回の超新星からもっとも近くにある銀河(おそらく超新星の母銀河)も楕円銀 河です。楕円銀河では星生成活動は不活発なので、寿命が短いために星生成か らほどなく爆発する重力崩壊型の超新星は見られず、星誕生から爆発までによ り長い時間が必要な核爆発型(Ia型)超新星のみが観測されます。今回の超新星 は、この考察にあてはまるものと言えるでしょう。 板垣さんの発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn-anon.jpg 参考文献:CBET 2200 (2010 Mar. 12) 2010年3月15日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。 2010 March 12 (CBET 2200) Daniel W. E. Green