Subject: vsolj-news 242: SN 2010cp in NGC 4877 VSOLJ ニュース (242) 夕方の南の空に超新星出現 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 春の空はかすみや黄砂で朧になりやすく、天体観測は少し困難なこともある 時期ですが、そんななかで日本人アマチュア天文家によって超新星が発見され ました。発見したのは、山形県山形市の板垣公一(いたがき こういち)さん、 これまで多種多様の新天体を発見してきた、日本を代表するベテラン天体捜索 者です。 板垣さんは、5月9.581日(世界時、以下同様)に60cm望遠鏡で撮影した画像に、 17.5等級の新しい光点を見いだしました。その位置は、 赤経 13時00分25.79秒 赤緯 -15度17分19.8秒 (2000年分点) で、おとめ座の渦巻銀河NGC 4877の中心核から西に8秒角、南に19秒角にあた ります。銀河の円盤部で、中央の膨らみのすぐ外側に重なって見えます。天体 は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさ とおる)さんによって、アメリカおよびオー ストラリアの遠隔操作の望遠鏡で確認され、公表されました。11日現在まで、 天体の明るさは発見時からそれほど変化していません。 渦巻銀河の円盤部に出現したため、大質量星の末期である重力崩壊型超新星 の可能性が考えられます。発見時の明るさも、この推定と合致します。今後、 分光観測によるタイプの判別や、光度変化の追跡が期待されます。 板垣さんによる発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn4877.jpg 参考文献:CBET 2276 (2010 May 11) 2010年5月12日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。