Subject: vsolj-news 243: SN 2010dn in NGC 3184 VSOLJ ニュース (243) 近傍銀河に超新星らしき天体 著者 :山岡均(九大理) 連絡先:yamaoka@phys.kyushu-u.ac.jp 6月に入り、梅雨入りも間もなくとなりました。夏至も近づいて夜が短く、 天体観測には少々困難が伴う季節です。そんな折り、日本人アマチュア天文家 によって超新星が発見されました。発見したのは、山形県山形市の板垣公一 (いたがき こういち)さん、これまで多種多様の新天体を発見してきた、日本 を代表するベテラン天体捜索者です。 板垣さんは、5月31.523日(世界時、以下同様)に60cm望遠鏡で撮影した画像に、 17.5等級の新しい光点を見いだしました。その位置は、 赤経 10時18分19.89秒 赤緯 +41度26分28.8秒 (2000年分点) で、おおぐま座の渦巻銀河NGC 3184の中心核から東に33秒角、北に61秒角にあ たります。銀河の腕に沿った場所です。天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさ とおる)さんによって確認され、公表されました。10日ほど前にはこの位置に これほどの明るさの天体はありませんでした。 NGC 3184は、距離が10Mpc余りの銀河です。新天体がこの銀河に属するもの として、発見時の絶対等級は−12.8等級ほどで、典型的な超新星よりかなり暗 いものです。この暗さが、母銀河内の吸収によるのか、それとも天体の特異性 によるのか、今後の分光観測によるタイプの判別や、光度変化の追跡が待たれ ます。 板垣さんによる発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn3184.jpg 参考文献:CBET 2299 (2010 June 1) 2010年6月1日 ※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開 等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典 を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、 VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。 なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。